PC への Thunderbird のインストールは、通常は
公式サイトから自動的に選択されたインストーラーをダウンロードするか、
システムと言語のページで言語とプラットフォームを自分で選択してインストーラーをダウンロードして行います。
一方、Windows 環境では Microsoft Store でも Thunderbird が配布されており、これを新規インストールしてプロファイル関係で混乱されている方がいるようなので、注意喚起としてこのトピックを立てました。
一般的には Microsoft Store からインストールするアプリをストアアプリ版、従来のアプリをデスクトップアプリ版と呼んで区別したりしますが、正確には従来の Win32 アプリを
UWP アプリに変換し、
MSIX という形式のパッケージにて配布しているものです。ここでは MSIX 版と呼ぶことにします。
ネイティブの UWP アプリは低い権限しか持たないサンドボックス環境で動作します。それに対して、Win32 アプリを UWP 化した MSIX 版アプリは権限は制限されず、レジストリとファイルシステムを
柔軟な仮想化機能で分離して動作します。
現在起動している Thunderbird が通常の Win32 アプリか、Microsoft Store からインストールした MSIX 版なのかはヘルプから「Mozilla Thunderbird について」ダイアログを開くとすぐにわかります。
MSIX 版の場合は
引用:
Thunderbird Windows MSIX package
thunderbird-MSIX - 1.0
といった表示があります。
添付ファイル:
TB_Mozilla Thunderbird について.jpg [ 64.32 KiB | 表示数: 3671 回 ]
通常の Thunderbird と MSIX 版では中身は同じですが、いくつか挙動に違いがありますので注意が必要です。
■ コマンドラインオプションが使えないプログラムの実行ファイルを直接起動することができず、インストール時に作成されたスタートメニューの起動アイコンやタスクバーのピン留め、それらをコピーしたリンク(リンク先の編集不可)からしか起動できません。
ちなみに実行ファイルのパスは
コード:
C:\Program Files\WindowsApps\MozillaThunderbird.MZLA_115.6.0.0_x64__h5892qc0xkpca\VFS\ProgramFiles\MZLA Package Root\thunderbird.exe
とかになりますが、「WindowsApps」フォルダーには管理者ユーザーでもアクセスできず、「VFS」以下はパッケージ内の仮想化されたフォルダーです。
したがって、コマンドラインオプションを指定してプロファイルを指定したりする手法が使えないことになります。
■ 更新は Microsoft Store 側で行われるMicrosoft Store のアプリの更新機能により自動更新されるか、Microsoft Store のライブラリで更新プログラムの確認を手動で行うことになります。
「Mozilla Thunderbird について」ダイアログを開いても更新チェックの表示はありません。
■ 通常版未インストールの場合、プロファイルが隠されてしまうこれが一番の問題かと思います。
通常の Thunderbird を未インストールの状態で Microsoft Store から MSIX 版を新規インストールした場合、「トラブルシューティング情報」ページの「プロファイルフォルダー」項目の「フォルダーを開く」ボタンを押すと、標準の場所である
コード:
%USERPROFILE%\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\xxxxxxxx.default-release
を開こうとしますがアクセスできず、「場所が利用できません」という Windows のエラーダイアログが出てしまいます。
添付ファイル:
TB_トラブルシューティング情報.jpg [ 163.6 KiB | 表示数: 3671 回 ]
実際にエクスプローラーで調べると「AppData」フォルダーの下に「Thunderbird\Profiles」というフォルダー自体存在していないことがわかります。
ではプロファイルはどこに保存されているかというと、下記のフォルダーにあります。
コード:
%USERPROFILE%\AppData\Local\Packages\MozillaThunderbird.MZLA_h5892qc0xkpca\LocalCache\Roaming\Thunderbird\Profiles
「%USERPROFILE%\AppData」へのアクセスが仮想化され、実体は上記の場所に保存されるというわけです。
ちなみに「MozillaThunderbird.MZLA_h5892qc0xkpca」というのは Thunderbird のパッケージのファミリーネームになります。
ところが既に通常の Thunderbird がインストール済みでプロファイルが存在していた場合、それに追加する形で MSIX 版の新しいプロファイルが作成され、「トラブルシューティング情報」ページと実際のプロファイルの場所に齟齬が生じることはありません。
不思議な感じですが現状はそういう挙動となっています。