※質問するときは、「フォーラムの利用に関するご案内」、とりわけ「質問するときは」に目を通し、OS の種類だけでなく Thunderbird のバージョンなどの最低限の情報を書き添えることをお勧めします。(基本的な前提条件)Thunderbird のアドレス帳は、2つの要素で管理されています。
(a)アドレス帳の実データ
登録した連絡先情報は、プロファイル内の *.mab というファイルに保存されています。
[個人用アドレス帳] に対応するのは abook.mab 、[記録用アドレス帳] に対応するのは history.mab です。
ユーザーが任意に作成したりインポートしたアドレス帳は、abook-1.mab 、impab-2.mab などの名前で保存されます。
(b)アドレス帳の管理情報
上記プロファイル内の機械的なファイル名とアドレス帳に表示される名称の関連性などの設定情報が、prefs.js に記録されています。
(a)(b)両者の連携が維持されることで、正常にアドレス帳を扱うことができます。
kuro3851 さんが書きました:
この度もう一台のPC(OSはWin10)を設置したのですが、新たなPCにも、旧いPCと同一のアドレス帳を設定したいのですが、どうすればよろしいのでしょうか?
旧 PC の Thunderbird で使っていたのが既定の [個人用アドレス帳] と [個人用アドレス帳] の2つだけなら、旧 PC のプロファイルにある abook.mab と history.mab を、新 PC のプロファイルにコピーするだけで、アドレス帳の移植は完了します。
この2つはデフォルトのアドレス帳なので、新 PC に Thunderbird が正しくインストールされ、アカウント設定も完了しているのなら、prefs.js に既定の情報が記録されているので、矛盾は生じません。
(注)
これは新 PC のアドレス帳がまっさらな状態の場合に通用する方法です。すでに新 PC のアドレス帳に、旧 PC にはない連絡先情報が登録されているような場合、上記の方法では上書きされてしまいます。
一方、ユーザーが任意に作成したり、他からインポートしたアドレス帳は、旧 PC にある abook-1.mab 、impab-1.mab を新 PC にコピーするだけでは移植できません。なぜなら、新 PC の prefs.js にはそれらの管理情報がないからです。
このような場合、一般的には、アドレス帳のエクスポート・インポート機能を使って移植します。
旧 PC の Thunderbird を起動し、アドレス帳ウィンドウで移植したいアドレス帳を選択した状態から、[ツール] -> [エクスポート] を実行して、対象のアドレス帳をファイルとして書き出してください。
エクスポートのファイル形式はいくつかありますが、Thunderbird 同士ですと LDIF 形式が一番安定しているように思います(個人的な印象ですけど)。
そして、書き出したファイルを、今度は新 PC の Thunderbird のアドレス帳でインポートすれば、(a)(b)両方が新環境にコピー・記録されます。
kuro3851 さんが書きました:
更に、常に双方のPCのアドレス帳を同期させたいのですが、どうすればよろしいのでしょうか?
厳密な意味での同期(双方向で差分を統合すること)を、Thunderbird 単体で実現するのはできないと思います。
簡易的には、次のようなアドオン(拡張機能)があるにはあります。
(参考)
・Addressbooks Synchronizer :: Thunderbird向けアドオン
addons.thunderbird.net/ja/thunderbird/addon/addressbooks-synchronizer/
・Mozilla Re-Mix: Thunderbirdのアドレス帳をローカルやWebサーバーに保存して常に同期することができるアドオン「Addressbooks Synchronizer」
mozilla-remix.seesaa.net/article/70745950.html
ただ、Thunderbird 60.x 系では使えると思いますが、最新バージョン 68.x 系とは、現時点では互換性がないみたいです。
(kuro3851 さんが「新たなPC」にインストールなさった Thunderbird の正確なバージョンが不明なので、これ以上は何とも申し上げられません...。)
Gmail のアドレス帳など、Thunderbird 以外のアドレス帳情報と Thunderbird のアドレス帳を同期するアドオンやサービスは他にもあったように記憶していますが、"Thunderbird の異なるプロファイルにある複数のアドレス帳をローカル内で同期する" ことが前提なら、上記以外の方法はにわかには思いつきません。
(MozBackup 利用時の注意点)さっそく EarlgreyTea さんからご助言がありましたが、ぼくも同感です。アドレス帳の移行のためだけに MozBackup を使うことはお勧めしません。
MozBackup は、Thunderbird や Firefox のプロファイルを簡単にバックアップ・リストアできるので、人気が高いソフトウェアです。
しかし、現在の最終バージョンである 1.5.2 Beta 1 が出たのは 2012 年 5 月(日本語版は同 6 月)で、それ以降は更新されていません。Thunderbird のバージョンでいうと 12.0 ~ 13.0 のあたりで止まっています。
Thunderbird は、Firefox ほどではないにせよ、それ以降もバージョンアップは続いていて、仕様変更や機能の追加・削除といったことがおこなわれ、プロファイル内のファイル構成にも変化があります。例えば、Thunderbird 31.0 まではパスワード情報を保存するファイルは signons.sqlite でしたが、38.0 以降は logins.json に変更されています。60.0 以降は暗号鍵も変更されています。送受信したメールデータやアドレス帳データの互換性は最大限維持されていますが、他の要素にはそれなりに変更がある点に留意してください。
こうした Thunderbird 本体の変化に対し、MozBackup がどこまで対応できているか、ユーザーが適切な操作を実行できるかが、成否の分かれ道になります。
一般的には、同一バージョンのプロファイルを丸ごとバックアップ・復元する分にはまず問題ないと思いますが、バージョン間の開きがあるときや個々の要素を微調整するときは要注意です。
また、MozBackup 自体のバグ、または MozBackup を実行するユーザー環境に内在する不具合によっては、MozBackup が期待どおりに動作しない可能性もありえます。
MozBackup のようなツールを使うのは利便性や効率性を求めてのことですが、ツール自身の限界とその実行に関わる潜在的なリスクにも意識を向けておかないと、思わぬ失敗をすることが実際にあります。
とりあえず以上です。的外れな話になっていたらすみません。
(おことわり)
現在、健康上の制約により不定期な書き込みしかできなくなっています。すぐに応答できない場面がかなり多くなりますことを、ご容赦ください。