横から失礼します。
次の2つの要素にもご留意ください。
(A)クイックフィルターを含む検索機能の仕様
(B)スレッドペインでの [差出人] や [通信相手] 欄の表示に関する設定
――の2つです。
(A)[クイックフィルター] の検索欄(「このフォルダーのメッセージを絞り込む <Ctrl+Shift+K>」とある部分)に文字列を入力し、その下の [送信者] 項目だけを選択すれば、当該フォルダ内にある全メッセージの From: フィールド(差出人ヘッダ)を検索して、合致するものを絞り込み、下欄のスレッドペインに一覧表示してくれます。
この場合、電子メールの仕様・規格に基づいてメッセージソースの From: フィールドが日本語を含んでいれば、日本語での検索・絞り込みにも対応します。
しかし、ここに日本語を含まない場合は、日本語での検索・絞り込みは働きません。
(補足)
メッセージソースの表示は、見たいメールを選択して、メニューの [表示] -> [メッセージのソース] や、キーボードの [Ctrl] + [U] などから、ソース画面を開けます。
(例1)日本語を含む差出人欄
From: =?UTF-8?B?55Sw5Lit?= <tanaka@mailaddress.com>
(説明)
「=?UTF-8?B?55Sw5Lit?=」は、UTF-8 でエンコーディングされた「田中」の文字列です。
ほかにも、iso-2022-jp でエンコーディングされているような場合もあります。
クイックフィルターに「田中」と入れれば、この部分を認識・判断して、絞り込みが実行されます。
(例2)日本語を含まない差出人欄(アドレスのみ、半角英数文字で名前...など)
From: tanaka@mailaddress.com
From: Tanaka <tanaka@mailaddress.com>
(説明)
「=?UTF-8?B?55Sw5Lit?=」のような日本語文字列を含まないケースです。
クイックフィルターに「田中」と入れても、そもそも From: フィールドに「田中」に該当する文字がないので、絞り込まれません。
しかし、「tanaka」であれば、メールアドレス部分にヒットする文字列があるので、絞り込まれます。
(B)スレッドペインの [差出人] や [通信相手] 欄に表示される、個々のメールの差出人の表示形式は、アドレス帳の登録状況などに影響を受けます。
---(Thunderbird のメインウィンドウの概要)----------------------------------------
┌─┬───┐
│ │ T │
│F├───┤
│ │ M │
└─┴───┘
F:フォルダペイン(Folder Pane)…… アカウントとフォルダの一覧
T:スレッドペイン(Thread Pane)…… Fで選択したフォルダ内のメッセージ一覧
M:メッセージペイン(Message Pane)…… Tで選択したメッセージの内容(本文+添付)
-----------------------------------------------------------------------------------
とくに本件の場合、アドレス帳の連絡先プロパティ([連絡先の編集: <登録名>])で指定された次の設定項目にも着目してください。
(例3)
-------------------------------------------------
[姓] (略) [よみがな] (略)
[名] (略) [よみがな] (略)[表示名] 田中さん ☑ [メッセージヘッダーでは常に表示名を優先する][ニックネーム] (略)[メールアドレス] tanaka@mailaddress.com[別のメールアドレス] (略)-------------------------------------------------
アドレス帳にメールアドレスが登録されている人から送信されたメールを受信したとき、実際のメッセージソース内の差出人ヘッダが、
From: tanaka@mailaddress.com
From: Tanaka <tanaka@mailaddress.com>
みたいに日本語を含まない(例2)のような場合でも、スレッドペインの [差出人] または [通信相手] 欄には、アドレス帳の [表示名] で指定されている「田中さん」の名前が優先表示されます。
このような状態のとき、[クイックフィルター] から「田中」の文字列で [送信者] を絞り込もうとしても、実際のメッセージソースには
From: tanaka@mailaddress.com
From: Tanaka <tanaka@mailaddress.com>
しかない(=日本語を含んでいない)ので「田中」ではヒットせず、「tanaka」ではヒットするという状況が起こります。
(補足)
アドレス帳に登録されていないアドレスからのメールは、From: フィールドに記された内容がすべてです。
まとめ上記(A)(B)の兼ね合いを把握していないと、どういう文字列を [クイックフィルター] に入れれば目的に適う検索・絞り込みを果たせるのか、合理的に判断できないことがあると思います。差出人(例:田中さん)が From: フィールドの指定に上記(例1)と(例2)を混在させているような場合には、
やまさん さんが書きました:
田中さんを「田中」と「tanaka」で検索すると別の検索結果になります。
が普通に起こると思います。
対策電子メールの仕様・規格では、「差出人」(送信者)はメールヘッダの From: フィールドで定義され、構文規則に基づいたメールアドレスを指定することが必要です。上記(例1)のように表示用の日本語名を含めることもできますが、必須ではありませんから省略されることも多々あります。
電子メールにおける相手の識別は、原則としてメールアドレスでおこなわれます。
なぜなら、仕事の取引先である A 社の田中信長さんと B 社の田中秀吉さん、さらに C 社の田中家康さんでは、名前は同じ「田中」でもメールアドレスが異なるからです。メール本文などを見た人の解釈・判断を挟まず、ソフトウェアの自動的な機能(例:検索など)を使う場合はなおさらです。
なので、差出人の検索・絞り込みにおいては、メールアドレスを基準にするのが最も確実性の高い方法になります。
(注)ある人物がメールアドレスを変更した場合や、異なる複数のメールアドレスを持っている場合、それ相応の対処が必要ですが、ここでは省略します。
表示名(例:田中さん)を有効にしたまま、メールアドレスで絞り込むには、次のような手順があります。
スレッドペインで、検索したい相手(例:田中さん)のメールを選択すると、その内容が下段のメッセージペインに表示されます。
このとき、メッセージペインの最上部に、[返信] 、[転送] 、[アーカイブ] などのメニューや、[差出人] 、[件名] 、[宛先] などの情報を含んだヘッダビューが表示されるはずです。
この [差出人] 項目の名前(例:田中さん)にマウスポインターを乗せ、右クリックから [メールアドレスをコピー] を実行すると、アドレスだけがコピーされます。
[クイックフィルター] の検索欄に [貼り付け] を実行すれば、田中さんのメールアドレス(例:tanaka@mailaddress.com)が書き込まれ、[送信者] だけを選択すれば、その内容で From: フィールドが絞り込まれます。(例1)(例2)の形式を問わず、メールアドレスが一致するすべてをリストアップしてくれるでしょう。
長くなって申し訳ありませんが、「(PCの事はあまりよくわかりません)」とのことなので詳しく書いてみました。的外れな話だったらすみません。
(おことわり)
現在、健康上の制約により不定期な書き込みしかできなくなっています。すぐに応答できない場面がかなり多くなりますことを、ご容赦ください。