ご事情、お察しいたします。
あせっておられるとは思いますが、まず Thunderbird のメッセージ削除の仕組みを理解したほうが的確に対策できるので、「急がば回れ」でこれをよく理解してください。(厳しいことを言いますが、もし理解せずあれこれ試したのであれば、その操作が逆に復元の芽を摘んでしまった可能性もなきにしもあらずです。)
【Thunderbird のメッセージ削除の仕組み】
Thunderbird は、Thunderbird 上の 1 フォルダに入っているメッセージ群を、1 つのファイルで管理しています。このファイルがメッセージ本文と添付ファイルを含めた「実体」です。
例えば、「受信トレイ」の実体は、Inbox という拡張子のないファイルです。「受信トレイ」に 100 通のメッセージがあれば、それらはすべて(添付ファイルを含めて)Inbox という拡張子のないファイルに格納されています。
このことを踏まえて、下記ページの図入り解説をよく読んでください。
(参考 - えむもじら)
http://level.s69.xrea.com/mozilla/index ... sageDelete
| 主に「最適化」をおこなう理由として説明されていますが、
| 実データがいつファイルから消去されるかの理屈は
| よくわかると思います。
ゆきち21 さんが書きました:
メールを受信して、中身を確認しないで複数のメールを選んだ状態でShift+Deleteで削除。
[Shift] + [Delete] の場合は、「ごみ箱」へのコピーをおこなわず、Inbox 内の個々のデータに削除フラグ付けだけが実行された状態です。
したがって、この直後であれば、ほぼ完全に復元可能です。
しかし時間の経過とともに、つまり Thunderbird を起動したり、他の復元ソフトを使うなどで、Inbox ファイルへの変更が加わるごとに、復元できる可能性が減っていきます。
【復元を阻害する要素】
●当該フォルダに対して「最適化」がおこなわれた段階で、削除フラグの付いたメッセージデータは、実体ファイルから消去されます。
したがって、メッセージの削除後に「最適化」が実行されていた場合、お気の毒ですが基本的に復元は困難だと考えてください。「最適化」を自動実行するような設定(アドオンの使用を含む)にしていた場合も同様です。
●「ファイナルデータ」などの消去ファイル復元ソフトを実行した場合、その使い方によりますが、万一 Thunderbird の実体ファイルが上書きされるといったことなどが起こっていれば、最悪の場合“止めを刺した”状態になっているかもしれません。
●「Thunderbird Undelete」は、後述する「削除フラグの書き換え」を実行するソフトですが完璧ではありません。Thunderbird のメッセージ削除の仕組みを理解せず間違った使い方をした場合、“止めを刺した”状態になっているかもしれません。
【基本的な復元方法】
★重要★ 操作の前に、既存のプロファイル(フォルダごと)のバックアップを必ずとっておきます。
(参考)・
プロファイル
●実体ファイルの削除フラグを、もとの正常な状態に書き換える
例えば、「受信トレイ」から削除したメッセージを復元するには、Thunderbird を終了した状態で、テキストエディタで Inbox ファイルを開き、削除フラグを書き換えます。
Inbox ファイルは、Thunderbird のプロファイル内の Mail\<アカウント> の中にあります。
Inbox ファイルに含まれる個々のメッセージには、
X-Mozilla-Status: 000
n
という一行があり、通常は
n の値が 1 、削除済みの場合は 9 になっています。
つまりメッセージのうち
X-Mozilla-Status: 0009
となっているものを
X-Mozilla-Status: 0001
にしてやれば、Thunderbird 上でそれらのメッセージが(添付ファイルを含め)復活するわけです。
| 厳密には「移動」したメッセージもそうで、
| X-Mozilla-Status2: の値も関係してくるのですが、
| 削除メッセージの復活を最優先する意味で基本点だけに絞りました。
テキストエディタで、検索語に「X-Mozilla-Status: 0009」を指定し、置換語に「X-Mozilla-Status: 0001」を指定してやれば、置き換えを自動化できるでしょう。
(注1)
これを比較的簡単に実行してくれるのが「Thunderbird Undelete」ですが、エンコードされたデータの扱いが必ずしも厳密でないため、文字化けや添付ファイルの破損などが起こるケースもあるようです。(「Thunderbird Undelete」でも復元できなかったのだとしたら、その結果さらに傷が深くなった可能性もないとはいえません。)
(注2)
Inbox ファイルの容量が、数百 MB 以上または GB クラスまで肥大化していると、テキストエディタで開くだけでも非常に時間がかかるかもしれません。(テキストエディタによっては開くことに失敗するかもしれません。)
【その他の方法】
条件によっては、次の方法で削除したメッセージを復元(再受信)できるかもしれません。
▼前提条件:
メールを POP で受信していて、
・[ダウンロード後もサーバにメッセージを残す] 設定にしていること。
・[ダウンロードしてから n 日以上経過したメッセージは削除する] と [ダウンロードしたメッセージを削除したらサーバからも削除する] が無効になっていること。
▼方法:
復活したいメッセージを受信していたアカウント・フォルダ内にある popstate.dat というファイルを削除または別の場所に移動した上で、受信操作をおこなってください。サーバー上に存在する全メッセージが再受信されるはずです。
(注3)
popstate.dat の削除または移動は、Thunderbird を終了した状態でおこなってください。
(注4)
サーバー上に大量のメールが残っていると、それらを例外なく受信してしまいます。その点は覚悟しておいてください。
以上、取り急ぎ。 的外れだったらすみません。
(成功を祈ります。)