※質問するときは、「フォーラムの利用に関するご案内」、とりわけ「質問するときは」に目を通し、OS の種類や Thunderbird のバージョン、アカウントの種類(IMAP か POP か)といった使用環境についての最低限の情報を書き添えることをお勧めします。まこと3号 さんが書きました:
Thunderbirdをmaildir形式で利用しています。
ウィルス対策ソフト(Kaspersky)で、悪意のあるファイルとして添付ファイルが検知されました。
ウィルス対策ソフトの機能で、検知されたファイルを削除しても大丈夫でしょうか?
ご存知のように、電子メールの格納フォーマットの一種である maildir 形式は、1メール(本文、添付ファイルを含む)を1ファイルで保持・管理します。
maildir 形式でメールデータを保管なさっているのなら、ウィルス対策ソフトが1件のメールの添付ファイルを「悪意のあるファイル」として検知した場合、原理的にはそのメールに対応するファイルだけが駆除対象になるので、他のファイル(=メール)に影響は及びません。(下記「補足」参照)
(注意)
ご提示のお話では、削除を実行するのは Thunderbird ではなくウィルス対策ソフトのようです。確率的には低いかもしれませんが、もしも誤検知、誤動作などが起これば、正常なファイルが削除される、関連ファイルに何かしらの悪影響が及んでしまう、といったことがないとはいえません。このあたりはウィルス対策ソフト側の問題なので、Thunderbird 側で確実性のある事前対策をとるのは難しいと思います。
まこと3号 さんが書きました:
検知されたファイルが複数あり、また
Inbox\cur\1234567890123456/data0000/xxx.js
みたいな感じのため、Thunderbird上で該当メールを探すことが困難です。
前提として、Thunderbird における maildir 形式は、Thunderbird の独自性を含んでいること、まだ十分にこなれているとは言い難い機能であることに、ご留意ください。(下記「補足」参照)
Thunderbird 上で、maildir 形式のアカウントを作り(仮に account A とする)、その [受信トレイ] 内に3件のメールが存在する場合、プロファイル内の [Mail] または [ImapMail] フォルダー配下の構造を略図にすると、だいたい次のようになります。
([ ] 付きはフォルダー、[ ] なしはファイル)
--------------------------------------------------
[account A]
├ Inbox.msf …… Inbox\cur 内のメールリスト(スレッドペイン表示用)
└ [Inbox]
├ [tmp]
└ [cur] …… 個々のメールの実体ファイルが配置される場所
├ 1234567890123000 …… a
├ 1234567890145000 …… b
└ 1234567890167000 …… c
--------------------------------------------------
[cur] フォルダーの中に "数字 16 桁" で命名されている拡張子のないファイル(a 、b 、c)が、1件ごとのメールの実体で、それらはすべて単純なテキストファイルです。あるメールが添付ファイルを含んでいれば、そのファイル内に添付ファイルのデータ(エンコード済み)も含まれます。
仮に a に含まれる添付ファイルがウィルス対策ソフトで検知され、a だけが駆除されたのなら、b 、c に影響は及びません。
ところで、「Inbox\cur\1234567890123456/data0000/xxx.js」というのは、ウィルス対策ソフトの検知結果のレポート表示か何かでしょうか?
例えば、マルチパートで構成されるメール内の添付パートに含まれる JavaScript が、不正なコードとして引っかかったことを示しているとか...??
「Inbox\cur\
1234567890123456/data0000/xxx.js」に含まれる数字 16 桁が、Thunderbird の管理下にある maildir 形式のファイル名から引用されているのなら、Thunderbird のプロファイル内にある同じ数字の名称(
1234567890123456)を持つファイルをテキストエディターで開くことで、中身を確認することはできるとは思います。
しかし、Thunderbird 上で表示される個々のメールと、数字 16 桁の名前が付いた個々の実体ファイルが、どのような対応関係にあるかを、Thunderbird 上で確認する方法は、いまの Thunderbird には実装されていません。なので、残念ながら「Thunderbird上で該当メールを探すことが困難です」が現状です。
(1メール1ファイルで管理するメールソフトの中には、個々のメールに対する個々の実体ファイルのナンバーを表示できるものもあります。)
とりあえず以上です。的外れな話になっていたらすみません。
(補足)---------------------------------------------------
日本語への翻訳が追いついていないようですが、次のようなサポート記事があります。
・Maildir in Thunderbird | Thunderbird ヘルプ
support.mozilla.org/ja/kb/maildir-thunderbird
そこに、maildir 形式のメリットのひとつとして
引用:
It is easier for anti-virus to scan emails in individual files, and infected mails can be removed without the loss of all the other mail in the folder, as often occurs today with anti-virus software which cannot handle multiple emails in one file.
とあります。(ネット上の翻訳サービスなどを使えば、概略を知ることはできると思います。)
Thunderbird 標準の mbox 形式は、メールソフト 上のフォルダー内のメール群を、システム上は1ファイルで管理します。
例えば、Thunderbird 上の [受信トレイ] に 10 件のメールが存在した場合、プロファイル内の Inbox ファイルに 10 件分のデータが格納されます。
その内の1件がウィルス対策ソフトの検知に引っかかったような場合、ウィルス対策ソフトによって Inbox ファイルが丸ごと削除されてしまうと、正常な他の9件も巻き添えをくって削除されることが起こりえます。
しかし、1メール1ファイルの maildir 形式では、原理的にはそういうことが起こらない、という話です。
上記の記事は、maildir 形式が初めて搭載された Thunderbird 38.0 のころの事情を背景に、実験的機能という点が強調されています。
現在のバージョンでは、38.0 のころに比べれば改善はそれなりに進んでいます。
しかしながら、mbox 形式と対等な水準で maildir 形式が選択肢になるかといわれれば、ユーザー環境や使い方によっては、まだ上記記事の注意書きが通用するところはありますし、開発途上の要素が残っている部分もあります(Thunderbird 上でメールの実体ファイルを把握する機能など...)。
Thunderbird における現状でのメッセージ格納形式の初期選択は、あくまで mbox 形式です。
上述のような事情を飲み込んだ上で、maildir 形式のメリットを活かしたい(試したい)場合は、ユーザーの判断で maildir 形式に切り替えることができる ―― そういうレベルの実装状況だと思います。(仕事で使うメインのメールアカウントで maildir 形式を常用するには、まだ不安が残るレベル、とでもいえばいいでしょうか...。もちろん、積極的に使ってバグ報告が寄せられれば、その分改善も進むとは思います。)
お使いの Thunderbird のバージョンが明記されていませんが、古いバージョンほど maildir まわりの不具合は多く残っているので、ご注意ください。
mbox 形式、maildir 形式、それぞれにメリットとデメリットがあり、ユーザーのニーズや運用スタイルも影響するため、一概にどちらが優れているとはいえません。ですが、いまの時点で Thunderbird の maildir 形式を「常用」するなら、開発途上の機能であることを理解し、一般的な maildir 形式の問題には対処できる程度の管理スキルは身につけておいたほうがいいように思います。
-----------------------------------------------------------
(おことわり)
現在、健康上の制約により不定期な書き込みしかできなくなっています。すぐに応答できない場面がかなり多くなりますことを、ご容赦ください。