素早い応答ができなくてすみません。
トピックタイトルの話題というより、ついでの質問に対するものですが......。
クマバチ さんが書きました:
以前のプロバイダのメールは、プロファイルには残っているようなので、もし表示を復
旧できるのであれば、再度表示させる方法もご教示いただけると有り難いです。
Thunderbird 上に表示されなくなったメールの復旧にあたっては、現状がどうなっているかをできるだけ正確につかむことが、復旧の成否に影響します。
メールデータの実体であるファイル群が、どのプロファイルのどこに、どんな状態で保存されているのか、復元先の Thunderbird の現状、そのアカウント構成やトラブルの有無など、そういったことが明らかになるほど、状況に即した適切な対処ができるからです。(どうしても不明な部分があれば、正直に「わからない」と仰ってください。そのほうが、「わからない」ことを前提にしたアドバイスができます。ただし、アドバイスの確度は下がりますが...。)
(現状確認のための基礎知識)現在の Thunderbird がメール(メッセージ)を格納する形式は2つあります。
[オプション] -> [詳細] -> [一般] -> [高度な設定] -> [新しいアカウントのメッセージ格納形式] で選択可能ですが、標準の形式(初期選択)は [フォルダー単位 (mbox 形式)] です。
(もうひとつは [メッセージ単位 (maildir 形式)] ですが、以前のバージョンにはこの選択肢はありませんでした。Thunderbird に実装後もしばしば不具合が顕在化していることもあり、ここでは maildir 形式の説明は割愛させていただきます。)
標準形式(mbox 形式)では、Thunderbird 上のあるフォルダーに保存されているメール群は、プロファイル内では対応する1つの実体ファイルにまとめて保存されています。
例えば、Thunderbird 上で表示される [受信トレイ] に対応するプロファイル内の実体ファイルは、Inbox という拡張子のないファイルです。
[受信トレイ] に 100 件のメールが存在したとすると、その 100 件分のメールデータが Inbox ファイルにまとめて保存されています。
Thunderbird が標準で持つフォルダーの表示名とプロファイル内の実体ファイル名の関係は次の通りです(日本語版の場合)。
======================================
[受信トレイ] ――― Inbox
[ごみ箱] ――――― Trash
[送信済みトレイ] ― Sent
[下書き] ――――― Drafts
[テンプレート] ―― Templates
[迷惑メール] ――― Junk
[アーカイブ] ――― Archives
[送信トレイ] ――― Unsent Messages
======================================
ユーザーが任意に Thunderbird 上で作ったフォルダーは、基本的にプロファイル内でも同名のファイルとして存在します。(例外として、OS が使用を禁止している記号類をフォルダ名に使った場合、プロファイル内のファイル名は自動的に修正された名前になります。)
msf の拡張子を持つ同名ファイルは、既述したようにそれぞれの実体ファイルの要約情報です。再利用することも可能ですが、必須ではありません。メールデータの復旧が目的なら、拡張子のないファイル群を最重視してください。
「以前のプロバイダのメールは、プロファイルには残っているようなので」が、以前に解約した「yahooBB(POP)」のものだとして、それらの Inbox や Sent などの実体ファイル群がどこに存在しているかを、明確につかんでおいてください。
(参考)
Thunderbird 上に表示されている個々のフォルダーの実体ファイルが、どこに、どんな名前で存在するかは、[フォルダーのプロパティ] で確認できます。
見たいフォルダー上で、右クリックから [プロパティ] で開きます。
[一般情報] パネルの最初にある [名前(N):] が Thunderbird 上での表示名、[場所(L):] がそれに対応する実体ファイルの場所と名前です。
表示されているフォルダーの状態を把握しておくことで、表示されなくなったアカウントのメールについても、ある程度の推測をたてることはできるようになるでしょう。
(メール復旧手順の一例)作業をおこなう時点での各種条件がどうなっているかで、効率的な方法・手順は変わってきます。
ここでは、「yahooBB(POP)」アカウントは削除されているが、そこで使われていたメールデータは標準形式で保存されていて、現在使っているプロファイル内に残っているものと仮定します。そして、その存在(Inbox など)は確認済みとします。この仮定の中で、確実性と簡便さを両立できる方法として、下記を提案します。
(1)起動した Thunderbird の [ローカルフォルダー] の直下に、作業用のフォルダを作ります。フォルダ名は何でもいいですが、ここでは仮に「移行作業用」としておきます。
「移行作業用」フォルダの配下にもうひとつダミーフォルダを作ります。名前は仮に「A」とします。これは、後述する sbd フォルダを生成させるためです。
模式的に示せば次のような感じです。
[ローカルフォルダー]
├ [受信トレイ]
├ [ごみ箱]
└ [移行作業用]
└ [A]
(2)Thunderbird の [ヘルプ] -> [トラブルシューティング情報] -> [アプリケーション基本情報] -> [プロファイルフォルダー] にある [フォルダーを開く] を押すと、そのとき読み込んでいるプロファイルのフォルダーが開かれます。
(3)フォルダーが開いたら Thunderbird をいったん終了します。
(注意:Thunderbird を起動したままプロファイル内を操作してはいけません。プロファイル内のデータの整合性を破壊してしまうことがあるからです。)(4)プロファイルフォルダー内の Mail\Local Folders の中に、移行作業用 という名前の拡張子がないファイル、移行作業用.msf というファイル、そして [移行作業用.sbd] という
フォルダーの3種類ができているのを確認します。[移行作業用.sbd] フォルダー内には、A と A.msf という2つのファイルがあるはずです。
Thunderbird 上で [移行作業用] フォルダーの配下に [A] を作らなければ、プロファイル内に [移行作業用.sbd] フォルダーは生成されません。
プロファイルフォルダー内を、msf ファイルを省略して模式的に示せば次のようになります。([ ] 付きはフォルダ。以下同様)
[Mail]
└ [Local Folders]
├ Inbox
├ Trash
├ 移行作業用
└ [移行作業用.sbd]
└ A
(5)Mail\<「yahooBB(POP)」のアカウント名> に移り、最初に確認した Inbox 、Sent 、Draft 、Archives など、および自分で作ったフォルダーの実体ファイル(拡張子なし)と、[Archives.sbd] などのフォルダーを、上記の [移行作業用.sbd] フォルダー内に
コピーします。操作ミスなど不測の事態を考慮し、ここでは
移動は使いません。
(popstate.dat 、msgFilterRules.dat 、filterlog.html などがあってもコピーしなくていいです。msf ファイルも同様です。コピー先で実体ファイルから自動生成させたほうが安心でしょう。sbd フォルダーが複数ある場合は、その中の msf ファイルをひとつずつ取り除くのは手間なので、そのままフォルダーごとコピーしてかまいません。もしこちらの msf ファイルが破損していたら、その修復作業を経験することもでき、経験を広げる機会になるかもしれませんし...。)
[Mail]
└ [Local Folders]
├ Inbox
├ Trash
├ 移行作業用
└ [移行作業用.sbd]
├ A
├ Inbox
├ Sent
├ Draft
├ Archives
└ [Archives.sbd]
└ 2017
(6)Thunderbird を起動し、[ローカルフォルダー] 配下の [移行作業用] フォルダーを見ると、[Inbox] 、[Sent] 、[Draft] 、[Archives] など、プロファイル内でコピーしたファイルやフォルダーの内容が、Thunderbird 上にフォルダーとして表示されているはずです。
[ローカルフォルダー]
├ [受信トレイ]
├ [ごみ箱]
└ [移行作業用]
├ [A]
├ [Inbox]
├ [Sent]
├ [Draft]
└ [Archives]
└ [2017] など
左側のフォルダペインで [Inbox] を選択すると、右上のスレッドペインに、[Inbox] に含まれているメールの一覧が表示され、その中のひとつを選択すると、右下のメッセージペインにそのメールの内容(本文)が表示されるはずです。
(7)旧「yahooBB(POP)」アカウント内に保存されていた実体ファイル(Inbox など)に損傷がなければ、移行作業用のフォルダ配下に入った各フォルダのメールは正常に表示できるはずです。このことが確認できれば、あとはユーザーの好みに応じて、Thunderbird 上で分類・配置してください。
単純に [移行作業用] のフォルダー名を [yahooBB(POP)のバックアップ] とかに変更し、そのままの状態で保存してもかまいません。
[A] フォルダーは削除してください。[Inbox] など他の実体ファイルが正しく認識されているのなら、[A] がなくてもプロファイル内の sbd フォルダーの構造は維持されます。
(8)以上で「以前のプロバイダのメール」を「再度表示させる方法」は完了です。
しかし万一、実体ファイル(Inbox など)がすでに破損していたら、(6)の段階で以前のメールが正常に表示されないなど、「yahooBB(POP)」アカウントのメールを復旧できないこともありえます。
一方、確実に復旧できたことに確信が持てたら、(5)の作業で残しておいた Mail\<「yahooBB(POP)」のアカウント名> を削除してもかまいません。ディスク容量に余裕があるなら、そのまま残しておいても実害はありません。
(注意)冒頭で述べた、Thunderbird が標準で持つフォルダーとプロファイル内の実体ファイルの関係は、[ロ―カルフォルダー] を含めすべてのアカウントで共通です。
つまり、どのアカウントでも [受信トレイ] の実体は Inbox ファイル、[送信済みトレイ] は Sent ファイル...ということです。
正確には、主体は実体ファイルのほうにあり、プロファイル内のアカウント名フォルダーの直下に Inbox や Sent など既定の実体ファイルが置かれているとき、Thunderbird 上では各言語版に応じた表示名でフォルダーが示され、それぞれが与えられた機能で動作します。(IMAP の場合は、サーバー側の仕様の影響を受ける場合があります。)
例えば、プロファイル内の [Local Folders] の直下に置かれた Draft ファイルは、日本語版 Thunderbird では [ローカルフォルダー] 直下に [下書き] フォルダーとして表示され、メッセージ作成との関わりでは文字通り "下書き" の保存先として働きます。
一方、それ以外のサブフォルダー(例:[移行作業用])配下に置いた場合は、そのままの名前、つまり Draft ファイルなら [Draft] の名前が Thunderbird 上でも使われ、単なる分類用フォルダとしての働きしかしません。
とりあえず以上です。クマバチ さんのところの実情に合わせて、ご解釈いただければと思います。
(余談)
次のトピックに関連しそうな内容を投稿しました。興味があれば参考になさってください。
・【レポート】ダミーアカウントの作成とそのローカルフォルダー化など
forums.mozillazine.jp/viewtopic.php?f=3&t=17069
(おことわり)
現在、健康上の制約により不定期な書き込みしかできなくなっています。すぐに応答できない場面がかなり多くなりますことを、ご容赦ください。