まず、Thunderbird の基本的な動作を確認した上で、ご質問の動作不良について述べます。
(基本的な考え方)
Thunderbird が標準で持っている既定フォルダ ―― [受信トレイ] 、[送信トレイ] 、[送信済みトレイ] 、[ごみ箱] 、[下書き] 、[テンプレート] 、[迷惑メール] 、[アーカイブ] などは、それぞれ特別な役目が割り当てられています。
それらの役目をどのフォルダに持たせるかは、アカウント設定にある [送信控えと特別なフォルダ] その他から、ある程度ユーザーが任意に変更することもできますし、ひとつのフォルダに複数の役目を割り当てることもできます(というか、できてしまいます)。
各アカウントを [共通受信トレイ](ローカルフォルダ)に統合した場合、その段階で自動的に各アカウントの既定フォルダは、[ローカルフォルダ] 配下で取り扱われるようになります。
ただし、アカウント設定を見ればわかるように [ローカルフォルダ] の設定項目は極めて限られており、各アカウントの個別設定は、アカウントごとにおこなうことができます。
それは、各アカウントの設定にある [送信控えと特別なフォルダ] などからの変更が、[ローカルフォルダ] 配下のフォルダに影響を与えることを意味します。
(本題)
ru-kia さんが書きました:
ローカルフォルダの受信トレイにある受信したメールが全て「下書き」の状態になり困っております。
プレビューでは「このメッセージは下書きです」と表示され、「編集」ボタンを押すと
新しくウィンドウが開き編集できる状態です。
ダブルクリックでメールを開いても同様に、編集できる状態で開いてしまいます。
何か特殊なトラブルではなく一般的な設定の範囲内であっても、この状態は、[ローカルフォルダ] 配下の [受信トレイ] に対し、[下書き] フォルダとしての指定がおこなわれているときに起こります。
アカウント設定の [ローカルフォルダ] 自身には、こうした設定を施す項目はありません。[ローカルフォルダ] は、あくまで各アカウントで施された設定に従って、各アカウントで送受信するメッセージの "受け皿" としての役目を果たしています。
複数のアカウントを共通受信トレイとして統合していようが、いまいが、どれが一つのアカウントで、[下書き] フォルダとして " [ローカルフォルダ] の [受信トレイ] " が指定されれば、その [受信トレイ] は [下書き] フォルダの表示と動作をとるようになります。
具体的には、[アカウント設定] -> [<アカウント名>] -> [送信控えと特別なフォルダ] -> [下書きとテンプレート] -> [下書きの保存先] で、[その他のフォルダを指定する] が選択され、その対象として [ローカルフォルダ] の [受信トレイ] が選択されている場合に、おっしゃるような動作が引き起こされます。
もちろん、[受信トレイ] としての役割も兼任しているので、すべての受信メッセージはひとまず [受信トレイ] に入り、メッセージフィルタが設定されていればそれに従って振り分けられます。
[受信トレイ] などの既定フォルダを、警告もなく [下書き] フォルダとして選択できてしまうところがバグっぽいですが、選択できる以上、ユーザーによって [下書き] の役目を割り当てられたフォルダがそのように振舞うことを、異常とはいえません。
もし、ユーザーが気づかないままうっかり誤設定してしまったような背景があるのなら、個々のアカウント設定を確認し、上記の設定項目で [ローカルフォルダ] の [受信トレイ] が選択されているところを探し出し、そこを修正すれば正常に戻るはずです。
修正は、[アカウント設定] -> [<アカウント名>] -> [送信控えと特別なフォルダ] -> [下書きとテンプレート] -> [下書きの保存先] で、[次のアカウントの "下書き" フォルダ] を選択し、その対象として [ローカルフォルダ] を選びます。
つまり、共通受信トレイに設定したときに自動的に定義された状態に戻すというだけの話になります。
この点は、ru-kia さんご自身も十分確認なさっていると思いますが、それでも次のような不安要素があります。
ru-kia さんが書きました:
試しにアカウントをすべて削除し、今度は「別のアカウントの受信トレイ」を選択せず
(それぞれのアカウントのフォルダがどんどん増えていく状態)
受信してみたところ、それぞれのアカウントに受信したメールでは「下書き状態」には
なりませんでした。
アカウントを作り直されたようですが、それで問題が起こらないなら、Thunderbird の基本的な部分に障害が起こってるわけではなさそうです。
いま提示されている情報から考えるならば、共通受信トレイ(ローカルフォルダ)の設定をどのように施したか、その後に各アカウントの設定内容を変更したことがあるのかないのか、にカギあるのではないかと思われます。例えば......
ru-kia さんが書きました:
「アカウント設定」 ⇒ 「サーバー設定」 ⇒ 「メッセージの保存」の詳細ボタンから
「別のアカウントの受信トレイ」でローカルフォルダを選択しています。
この設定が施されたアカウントは、ユーザーがいちいち "指定" しなくても、次のようになります。
ru-kia さんが書きました:
「送信控えと特別なフォルダ」、「迷惑メール」でも変更が必要な個所はローカルフォルダを指定し
下書きの保存先も
次のアカウントの下書きフォルダ : ローカルフォルダ
としています。
ここに述べられている設定項目に対して、自動的に [ローカルフォルダ] が選択されます。基本的にユーザーが個別に触る必要はありません。
しかし、もしもユーザーがこれらの部分をあとから操作したようなことがあれば、そのときに誤った設定を施してしまった可能性も考えられます。
ru-kia さんが書きました:
管理しているメールアドレスが多いため、ローカルフォルダにまとめたいと思い
上記設定にしています。
それだけ多くのアカウントがあるのなら、どこかに誤設定がある可能性を否定しきれません。
(補足)
アカウントが大量にある場合、上記の設定が施されたアカウントを探し出す作業を、少しは省力化できる方法を書いておきます。
オプション設定の [詳細] -> [一般] -> [高度な設定] にある [設定エディタ] を押すと、警告画面が開きます。
警告文をよく読んでから、[細心の注意を払って使用する] を押すと [about:config] ウィンドウが開きます。
[検索] 欄に
mailbox://nobody@Local%20Folders/Inbox と入力すると、この文字列を含む設定項目が下欄にリストアップされます。
mailbox://nobody@Local%20Folders/Inbox を値として持っている設定名を確認します。
mail.identity.id
N.draft_folder (
N は正の整数。draft_folder は下書きフォルダのこと)
という設定名が見つかったなら、id
N で定義されるアカウントで、[ローカルフォルダ] の [受信トレイ] が [下書き] フォルダに指定されていることになります。
今度は、[検索] 欄に mail.identity.id
N.useremail と入力すると、その項目がリストアップされ、値から id
N で定義されているアカウント名がわかります。
例えば、最初の検索で
mail.identity.id5.draft_folder が
mailbox://nobody@Local%20Folders/Inbox の値を持っていたのなら、id5 で定義されたアカウントで、[ローカルフォルダ] の [受信トレイ] が [下書き] フォルダに指定されていることを意味します。
次いで、mail.identity.id5.useremail で検索すると、id5 で定義されたアカウントの名前を確認できます。
あとは、そのアカウントに対し、通常のアカウント設定から当該箇所を修正してください。
ひとつだけでなく、複数のアカウントに誤設定がある可能性も考えられるので、ひとつ見つかったからとって安心せず、全体をしっかり確認してみてください。
さしあたって、Thunderbird の設定のあり方によって起こりうるケースと、その対処方法を書きました。
しかし、万一それ以外の原因で起こっているとしたら、上記の方法では解決しないかもしれません。
Thunderbird を「セーフモード」や「新しいプロファイル」で動作確認してみるなど、アドオンの影響やプロファイルの障害などを視野に入れて点検してください。
(参考)
・セーフモード
https://support.mozilla.org/ja/kb/safe-mode・複数のプロファイルを使用する
https://support.mozilla.org/ja/kb/using ... e-profilesとりあえず以上です。的外れな話だったらすみません。