横から失礼します。
ぼく自身は Yahoo!メールを使わなくなって久しいので、いまの Yahoo!メールの実情を具体的に把握しているわけではないのですが、既出のアドバイスとは別の観点からコメントを残させていただきます。
meeyar さんや maji さんがお示しになった「Yahoo!メールヘルプ」を見ると、「セーフティーアドレス」というのは一種のエイリアス(Alias / 別名)なのですね。
オリジナルの Yahoo!メールアドレス(o)は、メールサーバー上に対応するメールボックス(O)を持っていますから、このメールアドレスに対応するメールアカウントを、Thunderbird などのメールソフト上に作ることができます。
しかし「セーフティーアドレス」は、1対1で対応するメールボックスを持つという本来の意味のメールアカウントではなく、ユーザーが任意に設定した「ベースネーム」と「キーワード」の組み合わせで、オリジナル(o)に与える別名のことです。
設定した「セーフティーアドレス」は、ちょうどリンクのように Yahoo! のサーバー上で(o)に紐づけられているので、「セーフティーアドレス」宛に送られ、Yahoo! のサーバーまで到達したメールは必ず、実体であるオリジナルのメールボックス(O)に入れられることになります。
仮に3つの「セーフティーアドレス」を作っても、実体であるメールボックスは1つしかなく、その実体の本当の名前(メールアドレス)は(o)以外にありません。個々に独立したメールボックスを持つメールアドレスが、3つに増えるわけではありません。
ですから、オリジナルのメールボックス(O)あるいはそれが置かれたサーバーに障害が起こったりすると、設定した複数の「セーフティーアドレス」すべてに同じ影響が出ます。
このメールボックス(O)を POP サーバーの仕様で使うか、IMAP サーバーの仕様で使うかによって、サーバー上で「セーフティーアドレス」ごとに仕分けができるかどうかが変わってくるのは、meeyar さんが図解付きでご説明くださったとおりです。
で、このような「セーフティーアドレス」と同等の仕組みは、Yahoo!メール以外のメールサービスにもあり、Gmail や iCloud 、Outlook.com などではそのまま「エイリアス」と呼ばれているようです。このエイリアス機能は、使いようによってはけっこう便利だったりしますが、あくまでオリジナルの別名であり、そのメールアドレスが技術的な面でより安全性が高いわけではありません。
エイリアスの活用にあたっては、二面性を理解しておいたほうがいいように思います。
複数の「セーフティーアドレス/エイリアス」を使うということは、ひとつの部屋(メールボックス)に複数のドア(アドレス)を設置するようなものです。
出入り口が増えて便利さが増す半面、使いようによっては不正メール・迷惑メールが侵入してくる機会を増やすことにつながりかねません。
で、そうしたメールの着信が増えてきたエイリアスがあれば、これを抹消することでそのエイリアス宛の不正メール・迷惑メールをバッサリ断ち切ることができます。
エイリアスであることが「セーフティー」な理由は、問題があったら簡単に切り捨てられるメールアドレスだという一点に尽きるでしょう。
そのアドレスを使えばウィルス付きメールを招き寄せないといった、使用すること自体に安全的な優位性があるわけでないため、バッサリ切り捨てられない使い方をすると、自分自身で増やしたドアの数に応じた戸締りやケアに翻弄され、逆効果になることもあります。
他のメールサービスのエイリアスもだいたいそうだと思いますが、Yahoo!メールの「セーフティーアドレス」にも命名規則があります。
「ベースネーム」と「キーワード」をハイフンでつなぐという、ヘルプ記事に書いてあることがそれです。このうちベースネームは固定です。
あるベースネームに対し、キーワード部分をランダムに入れたメールアドレスで無差別なスパム送信がおこなわれれば、そのうちのいくつかが実際に使われている「セーフティーアドレス」に着信する可能性は十分あります。
basename-shopping というような名前を付けているのなら、basename-regist とか、basename-magazine とか、他の「セーフティーアドレス」を比較的推測されやすいこともあるでしょう。
実体としてのオリジナルのメールアドレス(o)だけを使うにしても、あちこちでこれを使えば、やはりそのメールアドレス宛に不正メール・迷惑メールが入ってくる割合は高くなります。けれども、オリジナルのアドレスは簡単に抹消できませんから、その身替わりとしていつでも捨てられる「セーフティーアドレス」を使ったほうがまだマシ(少しはセーフティー)ということなのだと思います。
しかしまた、いつでも抹消できることで油断が生じれば、「セーフティーアドレス」を迂闊に使う場面が増えるかもしれません。そうなるとやっぱりセーフティーではない状況を生み出しやすくなります。結局、「セーフティーアドレス」を作っては抹消するような堂々巡りのパターンにはまるケースが出てくるわけです。
(余談:個人的には、「セーフティーアドレス」というネーミングに違和感を覚えます。これでは、セーフティーさを切り捨てるようで簡単に削除できない心理が働くのでは、と思えるからです。)
takano さんが書きました:
どちらの端末も、受信だけでなく、各アドレスから送信もできるようにしたいです。
また、その時に元のアカウントがヘッダにつかないように、
あくまで安全に、独立したメールアドレスとして、
一つ一つのセーフティーアドレスを使いたいです。
こういった場合は、Thunderbirdのアカウント設定で、
「差出人情報の管理」を追加するのではだめでしょうか?
送信サーバー(SMTP)を Yahoo! 指定の設定で使うのであれば、自分から送信するメールの差出人(From)欄に「セーフティーアドレス」を入れるのは、Thunderbird の「差出人情報の管理」を使って簡単にできると思います。実例は opanchi_1963 さんや maji さんがご紹介くださっています。
しかし、メールの送受信全般に渡って、本当の意味で「独立したメールアドレスとして」の働きは望めないと思います。どうあがいても、1つのメールボックスに対して与えられたエイリアスでしかないからです。
takano さんが書きました:
また、セーフティーアドレスについては、
早速Yahoo!に確認したところ、
「送信先のメールソフト側の仕様によっては、
元のアカウントが表示されることがございます。
現在のところ事象の回避方法はございません。」
ぼく自身は Yahoo!メールを使っていないので確認のしようがありませんが、一般的な可能性として考えられるのは、メールヘッダの Return-Path: あたりに実体であるオリジナルのアドレスが記載されてしまうケースでしょうか。
(opanchi_1963 さん、maji さん、そのあたりはどうでしたか? Return-Path: 等を含めヘッダ全体にオリジナルのアドレスが存在しないのなら、少なくとも Thunderbird からの送信については、「その時に元のアカウントがヘッダにつかないように」はクリアできていると思います。)
「セーフティーアドレス/エイリアス」を使う場合の注意点みたいな話に重点を置いたので、否定的な話が多くなったかもしれませんが、「セーフティーアドレス」を使うなというつもりはありません。こうしたことを飲み込んだ上で、使い方の工夫や配慮ができれば、利用価値は十分あると思います。
とりあえず以上です。余計なお世話だったらすみません。
(以下、余談)
Yahoo!メールや Gmail などでの「セーフティーアドレス/エイリアス」の命名規則はヘルプページなどで公開されていますから、そのアドレスでやり取りしている相手に相応の知識(ヘルプページを読んで理解できる程度の)があれば、「セーフティーアドレス/エイリアス」であることは簡単にわかります。
「買い物」「メルマガ」などで使うメールアドレスなら相手もビジネスと割り切っているでしょうが、「友だち」用というのは考えものかもしれません。
「セーフティー」というのはそれを使っているユーザーにとってであって、相手にとっては何ら「セーフティー」のメリットはありません。むしろ、いざとなったら切り捨てられるメールアドレスで対応されていて、自分は信用されていない、と受け取られかねない一面があります。
技術的な観点からは友人=安全ではないので、「セーフティーアドレス」を使う意義は十分ありますし、実際は相手の受け止め方しだいです。
ですが、こういう点で(人間関係が)こじれることもあるので、Yahoo!メールヘルプにも「メインのYahoo!メールアドレスは親しい人以外に教えないことにして、オンラインショッピングやメールマガジンの配信登録、メーリングリストへの参加にはセーフティーアドレスを利用するという使い方をおすすめします」と述べられているのだと思います。
takano さんが書きました:
メインPC Thunderbird 38.5.0
Thunderbird 38.5.0 (2015 年 12 月リリース) は、すでにサポートが終了したバージョンです。現在のサポート内バージョンは 45.6.0 です。
下記のページに載っている情報の中で、38.6.0 以降に修正されたセキュリティ脆弱性の多く(全部とはいいません)が、38.5.0 には残っていることに注意してください。他の部分で「セーフティー」に気を使っても、Thunderbird 本体は必ずしも「セーフティー」な状態ではないってことですね。
・Thunderbird セキュリティアドバイザリ
http://www.mozilla-japan.org/security/k ... rbird.htmlやむをえない事情があって Thunderbird 38.5.0 をお使いなら、十分ご承知のことかもしれませんが、いちおう念のため。