tomato11cats さん、追加情報をありがとうございます。
meeyar さん、画像付きの Mac 環境の詳しい説明とフォロー、いつもありがとうございます。
tomato11cats さんが書きました:
ここでそのアドバイスを頂いて、とりあえず新しくプロファイルを作るところまではいきましたが、そのままコピーしたら元通りでした。(当たり前…)
で、何を移動すればいいのでしょうか。アドレスが10個ぐらい入っているんで「Mail」の該当のフォルダをコピーしてみたんですが反映しません。
原則的に、新しいプロファイルに引っ越す(リフレッシュする)理由は、古いプロファイルに内在する不具合の原因や、使われなくなった不要な要素を排除し、現在のバージョンに最適化されたプロファイルを構築するためです。そうすることで、軽快で安定した動作が期待できます。
そのため、アカウント設定もひとつずつおこなうほうが(復習にもなって)いいのですが、数が多いと労力がかかってしまいますから、旧プロファイルから流用できるデータがあれば、新しいプロファイルで使いたいと考えるのは、自然な要望だと思います。
しかし体験なさったように、不具合の原因を特定できていない状態では、不用意なデータ移行は不具合の原因まで移行させてしまうリスクがつきまといます。
前便でも申し上げたように、既存のプロファイルから移行させるデータを最小限にとどめるのがコツです。
このあたりのバランスを勘案して実際にどうするかは、ユーザーの判断しだいでしょう。
【移行対象となる代表的なデータ項目】赤字は、データの移行が対処の基本となる項目です。それ以外は、新しいプロファイルでいちから作り直しができる項目ですが、旧プロファイルから移行することも不可能ではない項目です。それ以外は、とくに移行対象としては挙げていません。経験的に知っている注意点を含めて書いておきます。
アカウント設定および Thunderbird 全般の基礎設定データprefs.js というファイルに一括して保存されています。
prefs.js はプロファイル内で中核を担う最重要のファイルですが、ここに不具合の原因が潜んでいることがしばしばあるため、移行の判断は慎重にすべきファイルです。以下の各データと連動している内容もあるので、全体を把握してから取り扱いを判断することが望ましいと思います。
送受信したメールデータプロファイル内にある [Mail](POPアカウント)または [ImapMail](IMAPアカウント)というフォルダ内に、アカウントごとのフォルダがあり、その中に送受信しやメールの実データを持つ各種ファイル/フォルダ(Inbox 、Sent 、Trash などの実体ファイルと、Inbox.msf 、Sent.msf 、Trash.msf などのサマリーファイル、およびサブフォルダ用のデータ)が存在します。
メッセージフィルタの定義ファイル(msgFilterRules.dat)も、アカウントフォルダ内に存在しますから、一気に移行できます。
このアカウントごとのフォルダは、上記の prefs.js で定義されているアカウント設定と連動していますから、両者の整合性がとれていないとユーザーの期待通りにならないことがあります。
理想的には、新しいプロファイルでいちからアカウント設定をおこなったあと、POP なら自動的に作成される [Mail] フォルダ配下のアカウントフォルダ内に、旧プロファイル内にある対応するアカウントフォルダの内容物をコピーすれば、移行は完了します。
prefs.js を持ち込めば、いちからアカウント設定する手間を省略できますが、不具合が再発するリスクは高くなります。
失敗したらさらに新しいプロファイルを作って移行することもできますので、まずはダメ元で prefs.js を持ち込んでみて、うまくアカウント設定が移行できればラッキーだと思います。ここでつまずくようなら、prefs.js に原因が潜んでいる可能性が濃厚なので、素直にアカウント設定をしたほうがいいでしょう。
アドレス帳のデータThunderbird 既定のアドレス帳は [個人用アドレス帳] と [記録用アドレス帳] があります。この実体は、[個人用アドレス帳] が abook.mab 、[記録用アドレス帳] が history.mab です。
この2つしか使っていない場合、旧プロファイル内の abook.mab と history.mab を新しいプロファイルにコピーするだけで移行できます。
一方、ユーザーが追加作成したアドレス帳は、abook-1.mab 、abook-2.mab などのファイル名で、インポートしたアドレス帳は impab-1.mab 、impab-2.mab などのファイル名で存在します。
しかし、これらの *.mab ファイルをコピーしただけでは移行できません。prefs.js に記録されたアドレス帳情報との整合性が問われるからです。
この場合、古いプロファイルで起動した Thunderbird で目的のアドレス帳をいったんエクスポートしておき、そのあと新しいプロファイルで Thunderbird を起動してインポートするのが常道の手段となります。(prefs.js を手動で書き換えるという方法もありますが、推奨はしません。)
パスワードのデータメールサーバーにログインするためのパスワード情報は、独自のファイルに暗号化して保存されています。
その実体は logins.json というファイルです。暗号化のキー(鍵)は key3.db というファイルが担っています。両者は必ずペアで取り扱う必要があります。
logins.json にパスワード情報が書き込まれる際、そのときプロファイルに存在する key3.db を使って暗号化されます。復号には同じ key3.db が必要です。他のプロファイルにも key3.db はありますが、logins.json に書き込んだのと異なる key3.db ではパスワード情報を正しく取り扱えません。この点には十分注意してください。
新しいプロファイルで、いちからアカウント設定をおこなう場合はそのときにパスワード情報を入力しますから、それが自動的に logins.json に反映されるため、移行の必要はありません。
しかし、prefs.js といっしょにパスワード情報をも移行したい場合、旧プロファイルにある logins.json と key3.db をペアで移行します。
(注)以前のバージョンでは、logins.json ではなく signons.sqlite にパスワード情報が保存されていました。昔のバージョンから Thunderbird 使い続けてきた場合、プロファイル内に signons.sqlite が残っていることがありますが、Thunderbird 38.5.1 でメールの送受信が正常にできていたのなら、signons.sqlite のデータは logins.json に正しく移行されており、signons.sqlite はなくてもかまわないでしょう。
迷惑メールフィルタの学習データtraining.dat というファイルに保存されています。単純にこのファイルのコピーで移行できます。
その他のデータThunderbird の外観をカスタマイズしていた場合の情報、個々のアドオンが独自に作成したファイルなど、他にも様々なデータはありますが、これらの移行は不具合の移行をともなうことが多いです。そのつど自動生成されるデータなど、わざわざ移行させるまでもないファイルもあります。
とくにアドオン関連には注意してください。Thunderbird を長年使っていると、インストールされてはいるが実際はほとんど使わないアドオンが増えていく傾向があり、新バージョンに未対応になっていて知らぬ間に無効化されていたり、prefs.js にアンインストールしたアドオンのデータが残り続けるケースもあります。こうしたアドオンとその設定データが直ちに不具合をもたらすとは限りませんが、不必要なデータが乱雑に存在する状況は好ましいとはいえません。
プロファイルのリフレッシュはアドオンの大掃除でもあると考え、新しい Thunderbird での正常な動作が確認されている信頼できるものを、必要最小限だけ導入し直すほうが、最初の手間は多少かかっても、長期的には安定性に寄与できると思います。
以上、ぼくが申し上げられるのは相変わらず一般論でしかありません。Mac 環境での実情に合わせて適宜読み換えつつ、プロファイルの移行に際しての参考情報にしていただければと思います。