Thunderbird 45.8.0 がリリースされました。52.0 は遅れているみたいです。
さて、既出のように Thunderbird 52.0(日本語版)からメールの送受信における既定のテキストエンコーディングが Unicode (UTF-8) になります。
UTF-8 でも日本語メールは普通に取り扱えますから、そのことが直ちに問題になるわけではありませんし、既定値を ISO-2022-JP に切り替えることもできます。
(参考)
・Thunderbird 52.0 で既定のテキストエンコーディングを UTF-8 へ変更
viewtopic.php?f=25&t=16490しかしながら、UTF-8 が既定になることで、以前から Thunderbird を使ってきたユーザーの中には、52.0 へ更新したあと日本語メールの表示状態を不可解に感じる場面が増えるかもしれません。
この点についての調整方法を書いておきます。(メニュー名や設定名などは Windows 版によります。他の OS の場合は適宜読み替えてください。)
【起こりうる現象とその理由】送受信した日本語メールのテキストエンコーディング+文字セットが ISO-2022-JP か UTF-8 で、メール本文をメッセージペインやタブに表示させたときのフォントとサイズが大きく変わる可能性があります。
なぜなら、Thunderbird の初期設定では、メール本文の表示に使用されるフォントの種類とサイズが、ISO-2022-JP と UTF-8 では別々に定義されているからです。(末尾参照)
【調整方法】[オプション] -> [表示] -> [書式] -> [フォントと配色] -> [詳細設定] から、[フォントと文字エンコーディング] 画面を開きます。
日本語版 Thunderbird の初期状態では、[対象言語(T):] が
[日本語] になっています。
ここで選択されたフォントの種類とサイズは、日本語固有のテキストエンコーディング+文字セットである ISO-2022-JP や Shift_JIS 、EUC-JP のメールに適用されますが、UTF-8 のメールには適用されません。
┌ [対象言語(T):]
[表記体系の選択] ─────────────────────
│
[プロポーショナル(P):] [ 利用書体の選択 ] サイズ(E): [数値の選択]│ [明朝体 (Serif)(S):] [ フォントの選択 ]
│ [ゴシック体 (Sans-serif)(N):] [ フォントの選択 ]
│
[等幅 (Monospace)(M):] [ フォントの選択 ] サイズ(I): [数値の選択]└──────────────────────────────────────
UTF-8 のメールに適用されるフォントの種類とサイズは、[対象言語(T):] で
[他の表記体系] を選択した状態から指定してください。
この [他の表記体系] が、Unicode (UTF-8) の場合のフォント条件に対応しています。
(オフトピ:[他の表記体系] だけでは分かり難いので、[統一表記体系 (Unicode)] のような表現にしたほうがいいかもしれませんね。)
【注意点】プレーンテキスト形式で日本語メールを常用しているユーザーは、次の点に気をつけてください。
[フォントと文字エンコーディング] 画面の [フォント制御] -> [プレーンテキストメッセージに等幅フォントを使用する] が、初期状態で有効になっています。
この状態でプレーンテキスト形式のメールを運用している場合、実際の表示に使われるのは、
[プロポーショナル(P):] [ 利用書体の選択 ] サイズ(E): [数値の選択]ではなく
[等幅 (Monospace)(M):] [ フォントの選択 ] サイズ(I): [数値の選択]です。この点に留意し、
[他の表記体系] における設定をおこなってください。
HTML 形式のメールでは、[プレーンテキストメッセージに等幅フォントを使用する] の設定内容がどうであれ、
[プロポーショナル(P):] [ 利用書体の選択 ] サイズ(E): [数値の選択]の設定が使われます。
ただし、[フォント制御] -> [メッセージが指定したフォントを優先する] が初期状態で有効になっているので、受信した HTML メールの中にフォントの種類やサイズが指定されていれば、そちらが優先されます。
【補足】[対象言語(T):] で選択できる表記体系(言語体系)ごとに、それぞれ独立した内容を定義でき、フォントの表示条件を切り分けることができます。
なので、テキストエンコーディングの違いを表示に反映させたい場合は、意識的に異なるフォントの種類やサイズを設定してください。
逆に、[日本語] と [他の表記体系] に対し同じフォントの種類とサイズを設定しておけば、送受信した日本語メールが ISO-2022-JP であれ、UTF-8 であれ、同じ条件で表示されるようになります。
(参考)
・Re: Thunderbird返信時のUnicodeをオフにしたい。
viewtopic.php?p=59224#p59224電子メールを使いこなしておられるユーザー(ことにビジネスユーザー)にとっては、言語体系ごとに表示用フォントを設定する方法などは自明の知識だと思いますが、Thunderbird 52.0 以降で UTF-8 のメールを扱う機会が増えると考えられますから、UTF-8 に不慣れなユーザー向けのヘルプ記事として書き留めさせていただきました。
明らかな間違いや不正確なことを書いていたら、訂正・補足のツッコミをいただけるとありがたいです。
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【参考 -- Thunderbird 52.0b4 (Windows / 日本語版) の初期値】
┌ [対象言語(T):] [日本語] ─────────────────────────
│ [プロポーショナル(P):] [ゴシック体 (Sans-serif)] サイズ(E): [16]
│ [明朝体 (Serif)(S):] [MS P明朝]
│ [ゴシック体 (Sans-serif)(N):] [MS Pゴシック]
│ [等幅 (Monospace)(M):] [MS ゴシック] サイズ(I): [16]
└──────────────────────────────────────
┌ [対象言語(T):] [他の表記体系] ──────────────────────
│ [プロポーショナル(P):] [ゴシック体 (Sans-serif)] サイズ(E): [16]
│ [明朝体 (Serif)(S):] [Times New Roman]
│ [ゴシック体 (Sans-serif)(N):] [Arial]
│ [等幅 (Monospace)(M):] [Courier New] サイズ(I): [13]
└──────────────────────────────────────