遅ればせですが、途中から失礼します。
Leo さんが書きました:
一方 Fedora 22 上の 英語版 Thunderbird 38.0.1 では、問題なく iso-2022-jp で送信されます。 日本語版がおかしいのでしょうか?
Thunderbird 38.0.1 が正式リリースされる直前の時期に、Windows 8 / 7 上に Thunderbird 38.0.1 の英語版を入れて日本語版の動作と比較してみたことがあるのですが、英語版であってもメールヘッダの日本語部分は UTF-8 でエンコーディングされていました。
デフォルト設定のまま英語版で日本語メッセージを作成すると、日本語の本文(ボディ)も UTF-8 でエンコーディングされます。英語版でボディの標準エンコーディングを ISO-2022-JP にすることはオプション設定からできますが、ヘッダのそれを変更することはできませんでした。
なので、少なくとも Windows 環境では、メールヘッダのエンコーディングが UTF-8 になったのは、言語版に関係なく Thunderbird のベース部分での仕様変更だと受け止めていました。
しかし、Linux 版の Thunderbird では事情が異なるのかもしれませんね。(Fedora の Thunderbird は、ディストリビューション固有のパッケージ版でしたっけ?)
上記の結果は、ぼくの環境だけかもしれませんので、他の方からもご報告いただけると、もう少し全体像が見えてくるかもしれません。
結局のところ、メールヘッダのエンコーディングを ISO-2022-JP にすることが最優先のニーズなら、一定のリスクを覚悟の上で Thunderbird 31.x 系を使う(あるいは 38.x 系と併用する)しか、対応策を思いつきません。
以下は補足的な話にすぎません。興味のない方は読み飛ばしてください。
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Thunderbird 31.x 系以前にまったく問題がなかったわけではありません。
日本語をベースにした電子メールにおいて、ISO-2022-JP では扱えない文字 が件名と本文にどう分布するかで、送信メッセージのエンコーディングが変化しました。
次の4つのパターンは、日本語版 Thunderbird 31.7.0 (on Windows 8 / 7) で試した送信動作です。
「あり」「なし」というのは、ISO-2022-JP では扱えない文字 のことです。具体的にここでは「鷗」の字です。
(1)件名にあり、本文にない
件名:森鷗外
本文:森鴎外
↓
(結果)
件名
=?ISO-2022-JP?B?GyRCPzkbKEI/GyRCMzAbKEI=?=
本文
Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp
Content-Transfer-Encoding: 7bit
(2)件名になく、本文にある
件名:森鴎外
本文:森鷗外
↓
件名
=?UTF-8?B?5qOu6bSO5aSW?=
本文
Content-Type: text/plain; charset=UTF-8; format=flowed
Content-Transfer-Encoding: 8bit
(3)件名になく、本文にもない
件名:森鴎外
本文:森鴎外
↓
件名
=?ISO-2022-JP?B?GyRCPzkyKjMwGyhC?=
本文
Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp
Content-Transfer-Encoding: 7bit
(4)件名にあり、本文にもある
件名:森鷗外
本文:森鷗外
↓
件名
=?UTF-8?B?5qOu6beX5aSW?=
本文
Content-Type: text/plain; charset=UTF-8; format=flowed
Content-Transfer-Encoding: 8bit
本文に適用されたエンコーディングが、件名にも反映されているのがわかります。
(1)は、ISO-2022-JP では扱えない「鷗」の字が ISO-2022-JP で強制的にエンコーディングされているため、受信側の環境条件がどうであれ「鷗」の字が正常に表示されません。
受信側が、メールヘッダ内のエンコーディングが UTF-8 だと正常に対応できないケースでは、(2)と(4)で文字化けを起こすでしょう。
本文(返信の引用や署名も)に、丸付き文字や絵文字・記号など ISO-2022-JP では扱えない文字 が含まれている場合、本文は UTF-8 でエンコーディングされ、それにならって件名も UTF-8 でエンコーディングされます。
スマートフォンなどでは絵文字が普通に使われる場面がありますが、こういう絵文字や記号を含んで送ってきた相手への返信でも、件名や本文(引用含む)が UTF-8 でエンコーディングされます。
Thunderbird 31.x 系以前で、件名を確実に ISO-2022-JP でエンコーディングできるのは、(3)のパターンだけです。
この条件内だけで電子メールのやり取りをしている間柄で、相手が Unicode への対応が不十分な環境であれば、メールヘッダを一律に UTF-8 でエンコーディングするようになった Thunderbird 38.x 系では、件名などメールヘッダの日本語部分が文字化けすることになるのでしょう。
一方、Thunderbird 38.x 系では、上記4つのパターンすべてで件名などのメールヘッダを UTF-8 でエンコーディングするようになりました。この場合、31.x 系と大きく変わるのは(1)と(3)です。
(1)は、31.x 系以前で起こりえた文字化けが起こらなくなります。ただし、"Unicode への対応が不十分な相手環境" では、別の意味で文字化けが起こります。
(3)は、31.x 系以前では問題が起こらなかった "Unicode への対応が不十分な相手環境" では、確実に文字化けが起こるようになります。
Unicode 対応が現状の必要十分なレベルに達している環境では、いずれのパターンであっても文字化けは起こらないはずです。
こうして見ていくと、昨今の文字コードの進歩と Unicode の使用頻度の増加、それを前提にしたスマートフォンやタブレットなどでの電子メール利用の増加の流れからは、Thunderbird 38.x 系の仕様の方が文字化けを発生させる可能性が低くなっているのがわかります。
しかし、本トピックの最初の投稿にあるように、サポート切れだったり古い仕様のままであるような "Unicode への対応が不十分な環境" では、逆に文字化けが起こる可能性が増加してしまうということでしょう。
方向が異なる2つのニーズを両立させられればベストなのでしょうが、現状の Thunderbird 38.x 系では、新しい方向性が優先されているように思えます。
いちおう、自分の手元でひとつずつ動作確認をおこなった結果にしたがって書きました。
しかし、当方の環境かテスト方法に問題があったかもしれませんし、仕様の解釈や現状の理解が間違っているかもしれません。もし間違いがあれば、遠慮なく指摘してください。自分としては、正しく適切な理解に到達することが目標ですから、事実と違う点を指摘していただくほうがありがたいです。