途中から口を挟んで心苦しいですが......。
これまでのやり取りの中で、とくに気になった事柄について参考情報を書き込ませていただきます。
abe@lrt.co.jp さんが書きました:
・作成済みの検索フォルダにアクセスするたびに検索し直す場合が多い
「検索し直す場合が多い」というより、[検索フォルダ] の名前のとおり毎回検索し直しているはずです。
同時に、公式サポートページで説明されているように、[検索フォルダ] は一種の「仮想フォルダ」であり、通常のフォルダと同じではありません。通常のフォルダに検索機能を付加したもの ―― といった解釈はしないよう注意を促しておきます。
ぼくがこのことを調べたのは、だいぶ前に USB メモリに入れたポータブル版 Thunderbird で、[検索フォルダ] や [グローバル検索] を使ったときのパフォーマンスやメディア容量の消費がどうなるかを質問されたときのことですから、現在の公式版 Thunderbird にそのまま当てはめることはできないかもしれません。そのことはご承知おきください。([グローバル検索] があったので、3.0 以降のバージョンではあったと思います。)
その上で共通の理解を深めるという立場で概要を書きます。
結論としては、Thunderbird は [検索フォルダ] で検索した結果のキャッシュや要約情報の類をファイルとして保持しているわけではなく、そのつど対象に指定されたメールデータを検索していました。動作的には、[検索フォルダ] に設定しない通常の [メッセージ検索] を実行するようなものです。
([グローバル検索] では、検索用インデックス <global-messages-db.sqlite> が生成され、元のメールデータの変化に応じて更新されますが。)
[検索フォルダ] を作るとプロファイル内の対応する場所に、Thunderbird 上でのフォルダの体裁を保つ役割を含め、検索対象などの情報を保持した <SearchFolderName>.msf ファイルと、同名のフォルダ(ファイルではない)が作られます。
検索結果が約2万件になる [検索フォルダ] を作り、タイミングを変えて実行しても、<SearchFolderName>.msf には約2万件分の要約情報の書き込みや更新は発生しませんでしたし、同名のフォルダにはキャッシュの類は何も保存されませんでした。
Thunderbird 上で [検索フォルダ] が選択されると、事前に設定された条件で自動的に検索が開始され、合致した条件のメッセージがリストアップされますが、このときプロファイル内の <SearchFolderName>.msf を観察しても、変化は認められませんでした。
[検索フォルダ] を [右クリック] -> [プロパティ] から開く検索条件の設定ダイアログから条件を変更したりすると <SearchFolderName>.msf が更新されることは確認できました。
これらのことから、[検索フォルダ] は、検索条件がプリセットされた通常の [メッセージ検索] が本質であり、仮想フォルダ化することで利便性を高めている ―― と解釈しました。
実際、全アカウントの全フォルダを検索対象(全体で数百メガバイトのデータ量)にして [検索フォルダ] を作り、全件合致する条件で検索を試したわけですが、USB メモリ上のデータではけっこうな時間がかかった記憶があります。(当時の PC のスペック、USB 規格が 2.0 の通常タイプの USB メモリだったということもあると思いますが...。)
ここまでは記憶での話なので不確かさがあると思ます。現状でのテストをやってみると、もう少し違う動作結果になるのかもしれませんが、いちおう参考まで。
で、ここからは上記のテスト結果から考察した理屈の話です。
例えば、[受信トレイ] の実体ファイルは拡張子のない Inbox ファイルで、そのインデックスは Inbox.msf です。両者は1対1の対応が成立しています。
しかし、[検索フォルダ] はその性質から、実体とインデックスが1対1で対応する保証はありません。
検索対象を複数選択できるので、複数の実体ファイルを相手にする可能性があるからです。
[検索フォルダ] の結果表示は、検索対象となった元のメールデータに直結した参照情報として表示されているようです。
実際、公式サポートの記事にも次のように注記されています。
検索フォルダ | Thunderbird サポート さんが書きました:
検索フォルダに表示されるメールは実際のメールの参照情報であり、検索フォルダは実際のメールが格納されているフォルダとは異なる「仮想フォルダ」です。検索フォルダに表示されている個別のメッセージを選択してメッセージを削除すると、元のフォルダにあるメッセージも削除されます。
ただし一般的には、Thunderbird を起動中は取り扱っているデータがメモリキャッシュに保持されるので、一度検索したあとの [検索フォルダ] は、それほどストレスなく再表示できると思います。
でも再起動後に [検索フォルダ] を選択すると再び一から検索するはずなので、状況によってはユーザーが苛立ちを覚えるレベルの処理速度になるケースはあるかもしれません。とくにオンラインでの検索を有効にしている場合は、さらに不満がつのるかもしれません。
「検索」という点でいえば、プレーンテキストである生のメールデータを相手にする通常検索の弱点を補う意味を含めて、データベース形式のインデックスを採用した [グローバル検索](全文検索機能)が導入されたと理解しています。
ただし、[グローバル検索] では [検索フォルダ] のような条件をプリセットしたアイテムを常設できません。
最後に、少し論点がずれるかもしれませんが、タイトルになっている「検索フォルダの活用」の「活用」にスポットをあてて、ぼくの解釈を書いてみます。
[検索フォルダ] は、あくまで一時的・補助的な「検索」が主体で、メッセージの恒常的な「分類」用フォルダとしての役割に主眼を置いた機能ではないと思います。
メッセージの「分類」は、ユーザーの判断で作った個々の分類用フォルダと [メッセージフィルタ] 機能を駆使した振り分けをベースとし、それら複数の分類用フォルダを横断して特定の条件でメッセージを抽出したい場合などに利用すると便利なのが、[検索フォルダ] だろうと思います。
(もちろん、それ以外の使い方をしてはいけないということではありません。)
メッセージの分類・振り分けで [検索フォルダ] を使うなら、検索結果を選択して任意のフォルダへ [移動] してやると、上述のように元のメールデータから移動先フォルダにメッセージの実体が移動されます。[メッセージフィルタ] では扱いにくい複数アカウント・複数フォルダの横断(串刺し)検索ができる分、こういうことが可能ですし、いったん分類したあとは、その [検索フォルダ] を常用する必要がない分、分類された通常フォルダの表示速度で不満が出ることはないと思います。
メッセージの一過的な選択的抽出や小規模な常設利用では [検索フォルダ] の出番は他にもあると思いますし、フォルダの表示形式を切り替えることで [未読] 、[お気に入り] 、[最近使用したフォルダ] などを選択する方法もあります。選択したフォルダ内のメッセージの絞り込みには [クイックフィルタ] が便利だろうと思います。
文字通り Thunderbird 上の全メッセージを対象にしたい場合や、どこに置いたか失念したメッセージを探し出したいような場合には、[グローバル検索] が効率的だと思います。
ついでに、「分類」でひとことつけ加えると、日常的な活用期を過ぎ、参照頻度も少なくなって保存フェーズに入ったメッセージ群は、[アーカイブ] 機能を使うのも有用な手段になろうかと思います。
長くなったので、その他のご質問の項目についてのコメントは省略させていただきますが、文面を拝見するかぎりでは、そもそも Outlook からのデータの移行が正常に完了しているのか、そのデータを取り込んだ経過を含めて Thunderbird のプロファイルに異常が起こっていなのか、という若干の懸念はあります。とりあえず以上です。十分ご承知のことをくどくど書いている結果になっていたら申し訳ありません。