遅ればせですが、横から失礼します。
takenaka さんが書きました:
仰るように、まずはウイルス検知される原因を突き止めを先決に進めて参ります。
原因究明の一助になればってことで、いくつか......。
十分ご存知のこともあろうかと思いますし、kiki さんのアドバイスと若干重複する部分もありますが、話の流れとして一通り書きます。くどい点があったらごめんなさい。
(以下、便宜的に「ディスクキャッシュ」という表現を使います。念のため末尾の【注記】もご参照ください。)
【プロファイル配下の Cache フォルダとは】
Thunderbird のプロファイル配下に作られる Cache フォルダは、Thunderbird 的には「ページキャッシュ」あるいは「ディスクキャッシュ」と呼ばれるもので、Web アクセス(http / https での通信)をともなう場合に生成・利用されるようです。
典型例としては、リモートコンテンツを許可した HTML メールを HTML 形式で表示したとき、フィードコンテンツを Web ページ形式で表示したとき、などです。
常時 [添付をインラインで表示] にしている場合も、添付ファイルの種類とそれに対するユーザーの操作によっては Cache が生成されるケースはあるかもしれません。
今回は該当しないようですが、ある種のアドオンを導入していると、メール本文に記されたリンク先の Web ページを、Thunderbird 内でブラウザのように開くことができますが、このようなケースでも利用されると思います。
この利点は、上記のケースで一度表示したことのあるコンテンツをオフラインでも表示できること、頻繁なメッセージの切り替えに際しての表示の高速化 ―― といったあたりでしょうか。
しかし「ディスクキャッシュ」は、プレーンテキスト形式はもちろん、リモートコンテンツを含まずメッセージソースだけで全てを表示できる HTML 形式の電子メールに対しては、生成も再利用もされません。
【Cache 内を定期スキャンしたときに検出される想定シナリオ】
・リモートコンテンツを含んだメッセージを受信した段階では、それに対応するキャッシュは生成されません。
・ウィルス対策ソフトがリアルタイムにそのメッセージソースを検査しても、そこに不正なコードが含まれていなければ、ウィルスとして検知はされません。
・しかし受信後に、リモートコンテンツを許可してそのメッセージを表示すると、そのメッセージ内に指定された要素が Web アクセスを通じて読み込まれます。
・ウィルス対策ソフトが、Thunderbird の Web アクセスに対応していなければ、その段階で適正なチェックがおこなわれない可能性は考えられます。
・Thunderbird が Web アクセスを通じて読み込んだコンテンツに不正なコードが含まれていたとして、それはそのまま Cache フォルダ内にキャッシュファイルとして保存されます。
・その後、ディスク内の定期的なファイル検査をおこなったとき、Cache フォルダ内のファイルがはじめてウィルスとして検出される可能性はありえます。
上記はあくまで仮説です。本当のところは具体的に調べてみないとわかりません。
いうまでもないことですが、キャッシュは、元になるデータを Thunderbird が読み込んだ結果として生成・保存され、そして再利用されるものです。
「ディスクキャッシュ」を無効化してウィルス対策ソフトの定期的なファイル検査を回避しただけでは、不正なコードを含むコンテンツへのアクセスとロードを遮断することにはなりません。
もっとも、問題のデータがどういうものかわからないので、読み込んだだけで被害をもたらすものかどうかは不明です。Thunderbird もそれなりに安全対策はとっていますから、何らかのプログラムやスクリプトを安易に自動実行するようなことはないはずですが、攻撃は日々巧妙化していますし、万全とは言い切れないので油断は禁物です。
加えて、ウィルス対策ソフトの誤検知である可能性も考えられるのであれば、今後のためにもそのあたりの確認をきちんとしておいたほうがいいと思います。
この方面の対処としては、検出・隔離されたデータをもとに、ウィルス対策ソフトベンダーのサポートに相談してみてください。
【Cache の無効化】
kiki さんからアドバイスのあった方法でも同等の効果は得られますが、次の方法で「ディスクキャッシュ」それ自体を明示的に無効化することも可能です。
(1)メニューバーの [ツール] -> [オプション] または アプリメニューの [オプション] -> [オプション] から開くオプショ設定ウィンドウの、[詳細] -> [一般] -> [高度な設定] にある [設定エディタ] ボタンを押す。
(2)注意書きが表示されるので、よく読んでから [細心の注意を払って使用する] を押す。
(3)詳細設定画面(about:config)が表示されるので、[検索] 欄に
browser.cache.disk.enable
と入力する。
(4)下の項目ペインに設定名 browser.cache.disk.enable がリストアップされる。初期値は true 。
(5)この項目名をダブルクリックするか、右クリックから [切り替え] で false に変更する(太字になる)。
(6)そのまま詳細設定画面を閉じる。
(7)念のため、Thunderbird を再起動する。
(注)プレーンテキスト形式主体の電子メールの運用なら、「ディスクキャッシュ」を無効化しても問題はないはずです。
しかし、リモートコンテンツを含む HTML メールを多用し、しばしばオフラインで利用するなどの運用条件であれば、これを無効化することで利便性が著しく低下する可能性はあります。
なお、「ディスクキャッシュ」を無効化しても、Thunderbird の稼動中は「メモリキャッシュ」が常に働いています(メモリキャッシュの無効化は非推奨)。【注記】
「ディスクキャッシュ」の本来の意味は、"ハードディスクの読み書きの効率化のために利用されるメモリ上のキャッシュ領域" のことです。
Firefox や Thunderbird に関して俗にいわれる「ディスクキャッシュ」は、"ハードディスク(SSD 、RAM ディスク含む)に保存される Web データのキャッシュ" といった意味で、原則として Firefox や Thunderbird の次回以降の起動において再利用可能な形で保持されるものを指しています。
類義語としては「メモリキャッシュ」があり、これは文字通り "メモリ(RAM)に一時的に保存される Web データのキャッシュ" という意味です。データの読み書きは高速ですが、Firefox や Thunderbird の稼動中だけ有効で、終了とともにメモリ上のキャッシュデータは消えるため、次回以降の再利用はできません。(そのため、「ディスクキャッシュ」の存在意義があるわけですが...。)以上、ぼくが経験的に把握した事柄ですが、参考になれば...。的外れなことを書いていたらすみません。