Firefox 57 のリリースから1カ月近く経ちましたが、この間に知人たちから受けた相談の中で、ユーザーインターフェイス(UI)の文字サイズに関するものが複数ありました。
その多くが、Firefox 56 まで通用していた旧式アドオン(拡張機能)で文字サイズをカスタマイズ(ほとんどの場合「大きく」)していたユーザー環境において、Firefox 57 に更新したあと旧式のアドオンが使えなくなって文字サイズ等がすべて標準状態に戻った、という文脈での話です。
一方、同じことを userChrome.css と userContent.css で調整していたユーザー環境では、Firefox 57 で新設・変更された要素以外は、Firefox 56 までのユーザースタイルがそのまま効きくため、影響は小さかったようです。
意外と UI の文字サイズに関する相談が多かったので、同様に困っているユーザーさんが他にもおられるかもしれないと思い、そのあたりの対策を書いておきます。ぼく自身、一介のエンドユーザーに過ぎず、たいしたスキルはありませんから、初歩的な対応事例のひとつだとお考えください。
【○○の文字サイズを大きくしたい】Firefox 57 で使える WebExtensions 形式のアドオン(Stylus など)に移行するという方法もありますが、ここではアドオンに依存しない方法を書いておきます。
(A)Firefox 全体の文字サイズアドオンを使って UI 全般の文字サイズを大きくしていたようなケースでは、手動で about:config から次の設定値を調整することで、同様の結果を得ることができます。(ただし、文字の色や太さを調整することはできません。)
layout.css.devPixelsPerPx
初期値は -1.0 で(マイナス記号に注意)、システムの DPI 値の設定に自動的に合わせるようになっています。
この値を、1.0 より大きくすることで、Firefox 本体の UI を拡大できます。
いきなり大きな値を入れるのではなく、1.1 、1.2、 1.3 … のように、少しずつ調整してみてください。変更結果はすぐに反映されます。
(注)
about:config には、不用意に変更を加えると Firefox の動作や表示に問題をもたらす項目もあります。とくに数値で指定する項目は、ユーザー環境の実情に左右される項目が多く、最適な数値は一律ではありません。どこかに紹介されていた数値を機械的に当てはめても、効果がないばかりか、逆に動作不良を誘発することがあるので、ご注意ください(とくにネットワークまわり)。
(B)[ブラウジングライブラリー] ウィンドウ内の文字サイズ[すべてのブックマークを表示] や [すべての履歴を表示] で開くウィンドウ(旧名:履歴とブックマークの管理)で表示される個々のブックマークや履歴の文字サイズです。userChrome.css を使う場合は、Firefox 56 までのスタイル(下記)がそのまま通用するはずです。
(例)
コード:
/* [ブラウジングライブラリー] ウィンドウ内 Places アイテム全般の文字サイズ */
#places {
font-size: 16px !important;}
(注)
16px は一例です。自分にとって納得のいくサイズを指定してください。単位は、em や pt 、% なども使えます。(以下同様)
ツールバーのアイテムとそのメニューなどは、別途指定が必要です(詳細省略)。
(A)の方法で表示状態を大きくした結果は、[ブラウジングライブラリー] ウィンドウ全体に反映されます。
別解として、昔からよく知られている次のような方法もあります。
アドレスバー(ロケーションバー)に、
chrome://browser/content/places/places.xul
と入力・実行すると、コンテンツエリア(ウェブぺージが表示される領域)に [ブラウジングライブラリー] ウィンドウの内容が表示されます。
コンテンツエリアに対しては標準のズーム機能が働きますから、全体を好みの大きさに調整できます。
この URL をブックマークしておけば、その後も簡単に呼び出せます。
(補足)
オプション設定やアドオンマネージャー、トラブルシューティング情報など、コンテンツエリアに表示される内容には、標準のズーム機能が働きます。
(C)Firefox 本体のツールバーから開くメニューパネル全般の文字サイズFirefox 57 のツールバー上にあるアイテム、例えば [三] 型のメニューボタンから開くメニューパネル、[ブラウジングライブラリー] や [オーバーフローメニュー] から開くパネル内のメニュー/サブメニュー項目は、Firefox 57 で新設または変更されたものです。
これらの文字サイズ全般を手っ取り早く変更したいのなら、次のユーザースタイル(userChrome.css)が使えると思います。
(例)
コード:
/* ツールバー上のアイテムから開くメニューパネル全般の文字サイズ */
.toolbarbutton-text {
font-size: 16px !important;}
個々のパネル内、各メニュー項目を別々に調整したい場合は、対象となるそれぞれのセレクタ(id や class など)を個別に指定する必要があります(詳細省略)。
(D)上記以外のブックマークや履歴まわりの文字サイズFirefox のブックマークと履歴まわりの機能である Places のデータベース(places.sqlite)から読み込まれる Places アイテムは、(C)の設定だけでは変更しきれません。
Places アイテムを表示できる箇所は複数あり、それぞれセレクタが異なります。個別の表示箇所は、ツールバーに配置した [ブックマークボタン](☆ の下に ␣ のアイコン)、メニューバーの [ブックマーク] 、サイドバーなどです。履歴も同様です。
Places アイテムと、メニューとして存在する項目では、指定するセレクタが異なります。ここでは、Places アイテムを対象とします。
ツールバーに配置した [ブックマークボタン] 、メニューバーの [ブックマーク] に表示される Places アイテムに対しては、Firefox 56 のユーザースタイル(下記)がそのまま効くはずです。
(例)
コード:
/* ツールバーの [ブックマークボタン] およびメニューバーの [ブックマーク] から開く Places アイテムの文字サイズ */
.bookmark-item > .menu-iconic-text {
font-size: 16px !important;}
サイドバーは、そこに読み込まれるのが [ブックマーク] か [履歴] かの違いがありますが、どちらも places.sqlite から呼び出されるので、どちらの文字サイズも同じように変更したいのなら、次のようなスタイルが使えます。
(例)
コード:
/* サイドバーに表示される Places アイテムの全般的な文字サイズ */
.sidebar-placesTree[type="places"] {
font-size: 16px !important;}
上記2つは、あくまで Places アイテムに対するものです。メニュー項目には別途指定が必要です(詳細省略)。
一方、Firefox 57 で新設された [ブラウジングライブラリー] -> [ブックマーク] 以下は、新たに指定する必要があります。
ただこの部分は、上記(C)の設定を施していれば、[ブラウジングライブラリー] とそのサブメニューにも反映されます(一部除く)。
メニュー全般は標準のまま、[ブラウジングライブラリー] -> [ブックマーク] 以下に表示される [最近のブックマーク] 配下の Places アイテムの文字サイズを調整したいなら、ざっくり次のスタイル(userChrome.css)が効くと思います。より細かな調整は、さらに詳細な指定が必要になります。
(例)
コード:
/* [ブラウジングライブラリー] > [ブックマーク] 内 [最近のブックマーク] 配下の Places アイテムの文字サイズ */
.subviewbutton.bookmark-item > .toolbarbutton-text {
font-size: 16px !important;}
上記は、あくまで Places アイテムに対するものです。メニュー項目である [このページをブックマーク] 、[ブックマークツール] 、[ブックマークを検索] などは、別途指定が必要です(詳細省略)。
以上、細かなスタイル指定は割愛し、大筋だけを挙げてみました。
間違いや不十分な点がありましたら、みなさんから訂正、補足、追加をいただけるとありがたいです。
文字サイズまわりに限らず、Firefox 57 で使えるお薦めのユーザースタイルをご紹介いただければ、さらに感謝です。
(おことわり)
現在、健康上の制約により不定期な書き込みしかできなくなっています。すぐに応答できない場面がかなり多くなりますことを、ご容赦ください。
Firefox 57 のリリースから1カ月近く経ちましたが、この間に知人たちから受けた相談の中で、ユーザーインターフェイス(UI)の文字サイズに関するものが複数ありました。
その多くが、Firefox 56 まで通用していた旧式アドオン(拡張機能)で文字サイズをカスタマイズ(ほとんどの場合「大きく」)していたユーザー環境において、Firefox 57 に更新したあと旧式のアドオンが使えなくなって文字サイズ等がすべて標準状態に戻った、という文脈での話です。
一方、同じことを userChrome.css と userContent.css で調整していたユーザー環境では、Firefox 57 で新設・変更された要素以外は、Firefox 56 までのユーザースタイルがそのまま効きくため、影響は小さかったようです。
意外と UI の文字サイズに関する相談が多かったので、同様に困っているユーザーさんが他にもおられるかもしれないと思い、そのあたりの対策を書いておきます。ぼく自身、一介のエンドユーザーに過ぎず、たいしたスキルはありませんから、初歩的な対応事例のひとつだとお考えください。
[b]【○○の文字サイズを大きくしたい】[/b]
Firefox 57 で使える WebExtensions 形式のアドオン(Stylus など)に移行するという方法もありますが、ここではアドオンに依存しない方法を書いておきます。
[b](A)Firefox 全体の文字サイズ[/b]
アドオンを使って UI 全般の文字サイズを大きくしていたようなケースでは、手動で about:config から次の設定値を調整することで、同様の結果を得ることができます。(ただし、文字の色や太さを調整することはできません。)
layout.css.devPixelsPerPx
初期値は -1.0 で(マイナス記号に注意)、システムの DPI 値の設定に自動的に合わせるようになっています。
この値を、1.0 より大きくすることで、Firefox 本体の UI を拡大できます。
いきなり大きな値を入れるのではなく、1.1 、1.2、 1.3 … のように、少しずつ調整してみてください。変更結果はすぐに反映されます。
(注)
about:config には、不用意に変更を加えると Firefox の動作や表示に問題をもたらす項目もあります。とくに数値で指定する項目は、ユーザー環境の実情に左右される項目が多く、最適な数値は一律ではありません。どこかに紹介されていた数値を機械的に当てはめても、効果がないばかりか、逆に動作不良を誘発することがあるので、ご注意ください(とくにネットワークまわり)。
[b](B)[ブラウジングライブラリー] ウィンドウ内の文字サイズ[/b]
[すべてのブックマークを表示] や [すべての履歴を表示] で開くウィンドウ(旧名:履歴とブックマークの管理)で表示される個々のブックマークや履歴の文字サイズです。userChrome.css を使う場合は、Firefox 56 までのスタイル(下記)がそのまま通用するはずです。
(例)[code]/* [ブラウジングライブラリー] ウィンドウ内 Places アイテム全般の文字サイズ */
#places {
font-size: 16px !important;}[/code]
(注)
16px は一例です。自分にとって納得のいくサイズを指定してください。単位は、em や pt 、% なども使えます。(以下同様)
ツールバーのアイテムとそのメニューなどは、別途指定が必要です(詳細省略)。
(A)の方法で表示状態を大きくした結果は、[ブラウジングライブラリー] ウィンドウ全体に反映されます。
別解として、昔からよく知られている次のような方法もあります。
アドレスバー(ロケーションバー)に、
chrome://browser/content/places/places.xul
と入力・実行すると、コンテンツエリア(ウェブぺージが表示される領域)に [ブラウジングライブラリー] ウィンドウの内容が表示されます。
コンテンツエリアに対しては標準のズーム機能が働きますから、全体を好みの大きさに調整できます。
この URL をブックマークしておけば、その後も簡単に呼び出せます。
(補足)
オプション設定やアドオンマネージャー、トラブルシューティング情報など、コンテンツエリアに表示される内容には、標準のズーム機能が働きます。
[b](C)Firefox 本体のツールバーから開くメニューパネル全般の文字サイズ[/b]
Firefox 57 のツールバー上にあるアイテム、例えば [三] 型のメニューボタンから開くメニューパネル、[ブラウジングライブラリー] や [オーバーフローメニュー] から開くパネル内のメニュー/サブメニュー項目は、Firefox 57 で新設または変更されたものです。
これらの文字サイズ全般を手っ取り早く変更したいのなら、次のユーザースタイル(userChrome.css)が使えると思います。
(例)[code]/* ツールバー上のアイテムから開くメニューパネル全般の文字サイズ */
.toolbarbutton-text {
font-size: 16px !important;}[/code]
個々のパネル内、各メニュー項目を別々に調整したい場合は、対象となるそれぞれのセレクタ(id や class など)を個別に指定する必要があります(詳細省略)。
[b](D)上記以外のブックマークや履歴まわりの文字サイズ[/b]
Firefox のブックマークと履歴まわりの機能である Places のデータベース(places.sqlite)から読み込まれる Places アイテムは、(C)の設定だけでは変更しきれません。
Places アイテムを表示できる箇所は複数あり、それぞれセレクタが異なります。個別の表示箇所は、ツールバーに配置した [ブックマークボタン](☆ の下に ␣ のアイコン)、メニューバーの [ブックマーク] 、サイドバーなどです。履歴も同様です。
Places アイテムと、メニューとして存在する項目では、指定するセレクタが異なります。ここでは、Places アイテムを対象とします。
ツールバーに配置した [ブックマークボタン] 、メニューバーの [ブックマーク] に表示される Places アイテムに対しては、Firefox 56 のユーザースタイル(下記)がそのまま効くはずです。
(例)[code]/* ツールバーの [ブックマークボタン] およびメニューバーの [ブックマーク] から開く Places アイテムの文字サイズ */
.bookmark-item > .menu-iconic-text {
font-size: 16px !important;}[/code]
サイドバーは、そこに読み込まれるのが [ブックマーク] か [履歴] かの違いがありますが、どちらも places.sqlite から呼び出されるので、どちらの文字サイズも同じように変更したいのなら、次のようなスタイルが使えます。
(例)[code]/* サイドバーに表示される Places アイテムの全般的な文字サイズ */
.sidebar-placesTree[type="places"] {
font-size: 16px !important;}[/code]
上記2つは、あくまで Places アイテムに対するものです。メニュー項目には別途指定が必要です(詳細省略)。
一方、Firefox 57 で新設された [ブラウジングライブラリー] -> [ブックマーク] 以下は、新たに指定する必要があります。
ただこの部分は、上記(C)の設定を施していれば、[ブラウジングライブラリー] とそのサブメニューにも反映されます(一部除く)。
メニュー全般は標準のまま、[ブラウジングライブラリー] -> [ブックマーク] 以下に表示される [最近のブックマーク] 配下の Places アイテムの文字サイズを調整したいなら、ざっくり次のスタイル(userChrome.css)が効くと思います。より細かな調整は、さらに詳細な指定が必要になります。
(例)[code]/* [ブラウジングライブラリー] > [ブックマーク] 内 [最近のブックマーク] 配下の Places アイテムの文字サイズ */
.subviewbutton.bookmark-item > .toolbarbutton-text {
font-size: 16px !important;}[/code]
上記は、あくまで Places アイテムに対するものです。メニュー項目である [このページをブックマーク] 、[ブックマークツール] 、[ブックマークを検索] などは、別途指定が必要です(詳細省略)。
以上、細かなスタイル指定は割愛し、大筋だけを挙げてみました。
間違いや不十分な点がありましたら、みなさんから訂正、補足、追加をいただけるとありがたいです。
文字サイズまわりに限らず、Firefox 57 で使えるお薦めのユーザースタイルをご紹介いただければ、さらに感謝です。
(おことわり)
現在、健康上の制約により不定期な書き込みしかできなくなっています。すぐに応答できない場面がかなり多くなりますことを、ご容赦ください。