Firefox 3.6.3 から Firefox 3.6.4 への更新は、バージョン・ナンバーを見る限りではマイナーな更新のように見えますが、実際には大きな機能追加がありました。
この点で、Firefox 3.6.3 またはそれ未満から Firefox 3.6.4 への更新に際し、予期せぬ不具合が起こるケースもあるようです。
このフォーラムに寄せられる Firefox 3.6.4 への更新に関連した質問においても、それぞれの現象は異なっても背景が共通しているケースが多くなろうかと予想されます。
個々のトピックにおける個々の質問にはそれに応じた回答をすることになりますが、共通のバックボーンをいちいち個々のトピックで説明するのは無駄が多いようにも感じます。
Firefox 3.6.4 の変更点に関する総論的な説明を1カ所にまとめ、個々のトピックにはそこを参照先として提示すれば、効率的かもしれないと考えました。
そのための一助として、このトピックを建ててみました。
※問題解決を求めてこのトピックを参照された方は、内容訂正や追加情報の書き込みがあるかもしれないので、このトピックを最後まで通読することをお勧めします。
【前提】
Firefox は通常、3.0 から 3.5、3.5 から 3.6 のようなメジャー・アップデートで新機能の追加や仕様変更を導入し、それ以外の 3.6.0 から 3.6.1 のようなマイナー・アップデートではセキュリティ上の修正や動作不具合の解消などのメンテナンスを中心とした更新が行なわれてきました。
しかし今回、Firefox 3.6.3 から 3.6.4 への更新には、通常のメンテナンス更新のほかに、新機能を追加するという試みが行なわれました。
この点が、Firefox の歴史の中でも特徴的な点です。
【何が大きく変わったか】
6月 22 日(米国時間)にリリースされた Firefox 3.6.4 では、Flash Player などのプラグインの動作に関連して、それらを Firefox 本体から切り離して実行する「プラグインプロセス分離」(OOPP <Out of process plugins>)が導入されました。
一言でいってしまえば、プラグインまわりの動作が大きく変更になりました。
ただし、OOPP は今回、Windows と Linux 用の Firefox で導入されましたが、Mac OS 用 Firefox では導入されていません。
詳細は、下記の記事を参考にしてください。
(参考)
・Firefox 3.6.4 リリースノート
http://mozilla.jp/firefox/3.6.4/releasenotes/
・Mozilla Japan ブログの記事
http://mozilla.jp/blog/entry/5495/
・Cnet Japan の報道記事
http://japan.cnet.com/print/0,200008063 ... 600,00.htm
【どういう問題が起こりうるのか】
OOPP は、プラグインの問題に巻き込まれて Firefox 本体が不用意にクラッシュするのを防ぐ技術で、Firefox の安定性向上を目指したものです。実際、多くの場合そのように動作し、Firefox の安定性向上に大きく寄与しています。
しかし、ユーザー環境は千差万別です。個々のユーザーが導入しているアドオン(拡張機能、テーマ)、プラグインの種類や組み合わせは多様であり、Firefox と連携するように働くダウンローダなどの外部プログラムの有無、Firefox や個々のアドオンの設定条件、OS の環境条件、通信回線事情なども様々です。
また、実装された OOPP に未発見の問題が潜んでいる可能性もゼロとはいえず、改良の余地があるかもしれません。
したがって、ユーザー環境によっては逆に、プラグインが正常に機能しなくなったり、プラグイン機能に依存しているサイトの閲覧ができなくなったり、プラグイン関連でクラッシュする場面が増えるかもしれません。
【プラグインまわりの問題への対処】
ユーザー環境の多様性は、“何にでも効く万能の特効薬”的な処方を難しくしています。
個別の問題については、それぞれのトピックで質疑応答して解決を目指してください。
しかし、全体的に共通しそうな対処については、概要をまとめておく意味はあろうかと思われるので、ここに列挙しておきます。
[1] プラグインについて
(1)導入しているプラグインは最新バージョンにしておく。
(2)常時使用しているわけではないプラグインは無効化しておく。
(3)プラグイン同士がコンフリクトしていないか点検する。
└ 類似機能をもつプラグインの一方を無効化するなどしてチェック。
[2] アドオンについて
(1)導入しているアドオンは最新バージョンにしておく。
(3)常時使用しているわけではないアドオンは無効化しておく。
(2)全アドオンを無効化した状態でプラグインの動作をチェックしてみる。
└ プラグインの機能と関連して動作するようなアドオンはとくに念入りに点検する。
[3] OOPP の有効 / 無効の切り替え(別のリスクが発生する可能性を覚悟しておくこと)
(1)現状の初期値では、総体的(オール通し的)な設定は無効化されている。
└ dom.ipc.plugins.enabled -> false
(2)現状の初期値では、いくつかのプラグインのみ個別に有効化されている。
└ 例: dom.ipc.plugins.enabled.npswf32.dll -> true
(3)about:config から特定のプラグインの OOPP を無効化する。
―ロケーションバーに about:config と入力して [Enter] 。
―警告文をよく理解したら [最新の注意を払って使用する] を押す。
―開いた about:config 画面の [フィルタ] 欄に dom.ipc.plugins と入力。
―下欄に表示された項目一覧のうち OOPP を無効化したいプラグイン DLL の [値] を [false] に変更。
(もしすべてを無効化したいなら、[値] が [true] になっているものをすべて [false] に変更。)
―about:config 画面を閉じ、Firefox を再起動。
[4] 新しいプロファイルへの移行
(1)旧バージョンから使い続けてきたプロファイルに蓄積された不要・不正なデータと決別し、最新の Firefox にマッチしたプロファイルに移行することで、安定性を改善・向上できる場合がある。
└ ブックマーク、パスワードなど最低限必要なユーザー情報は旧プロファイルから移植可能。
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以上、Firefox 3.6.3 またはそれ未満から、Firefox 3.6.4 にアップデートしたユーザーは、上記のような背景を理解しておくことで、不意のトラブルにも浮き足立つことなく落ち着いて対処できるかもしれません。
※上記にある誤りの訂正や補足説明、新たな追加情報などを追記していただけるとありがたいです。
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管理者さまへ
差し出がましいトピ建てだったかもしれません。
もし不適切であった場合は、お手数をおかけしますがトピックごと削除してください。